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バージョンアップの履歴を示そう エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年11月29日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

バージョンアップの履歴を示そう

 先日、バイオアーティストの福原志保さんがトークセッションで「テクノロジーの世界は、プロトタイプのバージョンアップを続けることで新しいものを生み出している。だから、(バージョンアップの)履歴って大事」とお話してくださって以降、「履歴」の価値を考えています。︎

 「履歴」と聞いて、真っ先に思い浮かんだのは、来年ラインを刷新する「ディオール(DIOR)」のスキンケアライン“カプチュール”です。先日、壮大な規模の発表会(というよりも、幹細胞にまつわる最新かつ入門編の学会でした)に並んでいたのは、歴代の“カプチュール”。変わりゆくボトルデザインを見るのも楽しかったし、「なるほど、こうやって進化してきたのか」と体感するのに有効でした。

 そして先週、そんな履歴を製品名に付しちゃうビューティブランドに出合いました。「アジャイル コスメティクス プロジェクト」というブランドです。このブランドは、リリース→フィードバックの回収→改善→バージョンアップのリリースという、どこも当たり前のように行なっているサイクルを明らかにしながら、今、最新の製品はどの段階にあるのか?何回バージョンアップを繰り返したのか?などをサイトで明示しています。看板商品のオイル美容液は現在、バージョン1.24のフィードバックを受付中。もう一つの美容液はバージョン1.07を増産しており、バージョン名は製品ラベルに明記されています。

 おもしろ〜い。このバージョンアップの明示は、製品の買い替えを促すし、消費者のフィードバックに応える誠意も表現していますね。そして、蓄積された履歴はレガシー(遺産)となり、ブランドの哲学やストーリーに発展するでしょう。

 考えるとファッションだって、特に定番はバージョンアップを繰り返しているのに、なかなか履歴がビジブルじゃないですね。コレがもっと分かりやすい形で発信できれば、消費者の共感を得られるのではないでしょうか?

 履歴的な「文書は破棄した」なんてのたまう政府に白々しい思いを抱かざるを得ない今日この頃。ますます履歴を残し、見せることの重要性を感じるのです。

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