ファッション

「ジル サンダー」の2人が新作に込めた思い 「前向きな変化を起こせるような強い気持ちになってほしい」

 「ジル サンダー(JIL SANDER)」は2021-22年秋冬、ウィメンズでは初めてパリ・ファッション・ウイークに参加し、映像を通してコレクションを発表した。個性、自由、変化を称え、さまざまな面を持つ自己を表現するための服を目指したという今季は、意外性のある要素のレイヤードや対比がポイントだ。例えば、かっちりとしたテーラードジャケットにはたくさんの天然真珠で作られた胸飾りやレースの装飾を加えたスリップドレスを合わせたり、クリーンなAラインスカートに着心地のいいニットのボディスーツを合わせたり。ウエスト部分をニットで切り替えたドレスもある。そして、ホワイト、ライラック、クリームなどの明るい色と、幾何学や蝶、素朴なペイント調の花といった柄やモチーフには、変わるための前向きな姿勢が反映されている。クリエイションを手掛けるルーシー・メイヤー(Lucie Meier)とルーク・メイヤー(Luke Meier)=クリエイティブ・ディレクターに、コレクションに込めた思いを聞いた。

――今シーズンのコレクションに込めた思いやメッセージを教えてください。

ルーシー&ルーク・メイヤー「ジル サンダー」クリエイティブ・ディレクター(以下、ルーシー&ルーク):私たちは、今回のコレクションをポジティブなものにしたいと考えました。この1年は、人々に重くのしかかっています。だから私たちが求めていたのは、軽やかさや遊び心に加え、力強さや大胆さを感じさせること。今の時代には、誰もが変化し、新しい状況に適応することが求められます。服装は気持ちに大きく影響するものなので、私たちの服を着ることによって、前向きな変化を起こせるような強い気持ちになってもらいたいのです。

――今回はパリコレの公式スケジュールで発表しましたが、その理由は?今後もミラノコレではなく、パリコレに参加する予定ですか?

ルーシー&ルーク:リアルなショーを行わないことで、コレクションを披露するのに最適なタイミングを自由に選ぶことができました。今回は、パリコレのタイミングで発表しましたが、今後については未定です。ただ一つ言えるのは、私たちはパリが大好きだということです!

――先シーズン(2021年春夏)は、柔らかく軽やかな素材や締め付けることのないシルエットを多用していましたが、今シーズンはよりフィットした曲線的なシルエットや遊び心のある素材の組み合わせ、大胆なパターンが目を引きました。今シーズン、特にこだわった要素を教えてください。

ルーシー&ルーク:今シーズンは、ニットウエアのインサートを多く用いました。私たちはさまざまな技術を一着の服に取り入れるのが好きで、ブーツや手袋にもニットのパーツを組み込みでいます。そして、柄のモチーフもとても大切。プリントやニット、クロシェ(かぎ針編み)などの異なるテクニックを駆使して、その解釈を探りました。テーラリングは変わらず厳格な印象ですが、ベルトで柔らかさをもたらしたり、軽やかなスリップドレスに合わせたりしています。ブーツも重要な要素の一つです。

――この1年で人々の価値観は大きく変わりましたが、お二人の価値観や考え方はどのように変わりましたか?

ルーシー&ルーク:私たちの価値観はあまり変わっておらず、常に価値あるものや上質なものにこだわっています。

――パンデミック後の世界におけるデザイナーズ・ファッションの役割をどのように考えていますか?

ルーシー&ルーク:私たちは、自分たちのデザインを通して明るい気持ちを伝えられるし、喜びをもたらすことができると信じています。こんな状況でも、皆、自分自身にご褒美をあげたり、贈り物をし合ったり、人生を豊かにしたいと思っていますよね。(これまでよりも)特別なものが求められるようになったかもしれませんが、長く大切に使うことに対する感度は高まっているのではないかと考えています。

――この先の見えない不安な日々が明けたら、まず何をしたいですか?

ルーシー&ルーク:また世界を旅したいです!

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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