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「シャネル」初のオンライン発表 カプリ島でのバカンスを思い描いた2021年プレ・スプリング・コレクション

 「シャネル(CHANEL)」は6月8日、2021年プレ・スプリング(クルーズ)・コレクションを公式ウェブサイトとソーシャルメディアで発表した。同コレクションは、もともと5月7日にイタリア・カプリ島でのランウエイショーで披露予定だったもの。新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受けて計画の変更を余儀なくされたため、パリ・カンボン通りにあるスタジオに小石が敷き詰められた地中海風のビーチを再現して撮影とデジタルでの発表を行った。

 コレクションのテーマは“Balade en Mediterranee(地中海を巡る旅)”。6月初めに行われた撮影では、モデルのミカ・アルガナラズ(Mica Arganaraz)らがパステルカラーの夕陽を背景に歩く姿の映像とルック写真を撮り下ろすとともに、フォトグラファーのカリム・サドリ(Karim Sadli)が黄金に輝く太陽光を再現したセットで異なる印象のイメージを捉えた。

 一対一のアポイント制でソーシャル・ディスタンシングを尊重して行われたメディア向けのプレビューで、ヴィルジニー ・ヴィアール(Virginie Viard)=ファッション・コレクション・アーティスティック・ディレクターは、「私はいつだってカプリ島に行くことを夢見ていた」とコメント。そして、彼女の前任者であり師として仰いでいた故カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)氏が、映画監督ジャン・リュック・ゴダール(Jean-Luc Godard)による1960年代の名作「軽蔑(Le Mepris)」で使用された同島のマラパルテ邸を97年に撮影したことに触れ、「彼の写真集を再編集して小さな展覧会を開くこともできたかもしれない。私は彼とつながる何かを持っているのが好き」だと話す。

 ヴィアールはロックダウン期間の大半をフランスの田舎で過ごし、5月4日にスタジオに戻ってから3週間をかけてチームと一緒にコレクションを制作した。その背景について「残っていたボタンや糸など使えるものはすべて再利用し、在庫のある毛糸でニットを編んだ。それが時間の節約につながった」と明かす。生み出されたコレクションは、ツイードスーツとスパンコールが施されたビキニトップのルックをはじめ、スポーティーなビキニトップにアシンメトリーなニットスカートやカプリパンツを合わせるなどカジュアルなムードが強調されたもの。「誰かがカプリ島にバカンスに出かけるような軽やかでかなり小規模な発表にするつもりだった。エレガントで洗練されていてながらもよりシンプルで、新しいアイテムと過去のコレクションのジャケットを組み合わせるようなね。もしお気に入りの『シャネル』のアイテムを持っていれば、それはいつでも活躍するもの。常に新しいものを買う必要はない」と説明する。

 さらに、彼女は厳選した過去のコレクションのアイテムにも新たな命を吹き込んだ。例えば、フレアジーンズをカメリアモチーフがプリントされたパネルでカスタマイズしたり、ツイードジャケットに同素材でアクセントを施したジーンズを合わせたり。「工場が在庫のある生地を使えるようにすることで、誰にとってもシンプルにすることを試みた。工場は簡単に閉鎖しうるものなので、私たちが誰も見捨てることなくすべての生産者を大事にしているということを知れたのは、とても感動的で心強かった」と話す。

 また、オンラインでの発表について、ブルーノ・パブロフスキー(Bruno Pavlovsky)=ファッション部門プレジデントは「『シャネル』の歴史においてショー以外でコレクションを発表したのは今回が初めてであり、新たな発表方法だ」とコメント。「ショーを開催できなかったのは残念だが、それが許される状況ではなかった。しかし10月には、無観客や少人数でもランウエイショーを復活させたいと考えている。ショーは、やはりコレクションのストーリーを伝える最高の方法。それは物語の始まりであり、その後の店舗展開において非常に重要だ」と続ける。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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