ファッション

「スニダン鑑定研究所」に潜入! 「ラブブ」やレアスニーカーの偽物を見破る裏側をリポート

スニーカーフリマアプリ「スニーカーダンク(SNKRDUNK以下、スニダン)」を運営するソーダ(SODA inc.)は7月31日、偽造品に関する専門的な研究と技術開発を行う「スニダン鑑定研究所」(以下『鑑定研究所』)を設立した。東京・豊洲に構える同社の物流・鑑定拠点「スニダンベース」内に常設し、急増かつ巧妙化する偽造品への対応を強化する。この日、メディア向けに施設を全面公開した。

「スニダンベース」で取り扱うのは、主力のスニーカーをはじめ、ストリートウエアを中心としたファッション、トレーディングカードやフィギュアなどのホビーといった偽造品の流通が顕著なジャンル。例えば、現在の取引額が100万円とされる2020年7月8日発売の“ディオール × ナイキ エアジョーダン1 ハイ OG”といったレア度の高い“ハイプスニーカー”から、日本で話題沸騰の中国発のキャラクター「ラブブ(LABUBU)」のチャーム、コレクション性の高いトレーディングカード「ポケモンカード(POKEMON CARD)」まで幅広い。

ファッションでいうと、「シュプリーム(SUPREME)」や「フィアオブゴッド エッセンシャルズ(FEAR OF GOD ESSENTIALS)」「セント マイケル(©︎SAINT MXXXXXX)」に加え、ラグジュアリーブランドのコラボアイテムや限定商品といった希少性の高いウエアやグッズが中心だ。

深刻化する偽造品の巧妙化。どう見抜くのか

2年半前に設けた「スニダンベース」は、物流から真贋鑑定、顧客対応までを一貫して行う拠点で、今回新設した「鑑定研究所」は、「スニダン」が注力する真贋鑑定の精度をさらに高め、ユーザー間の取引をスピーディーに行うことを推進する中枢を担う。ここでは、目視だけでは判断できない偽造品を見破るために、赤外線カメラやUVライト、X線、マイクロスコープといった最新のテクノロジーを使い、あらゆる正規品を徹底的に分析する。時にはレアスニーカーも分解し、「ナイキ(NIKE)」の場合、アイコン“スウッシュ”の長さや特殊ソールの“エアユニット”の構造を詳しく調べることで、独自のデータを蓄積。真贋鑑定の材料とする。

スニーカーの場合、中国やベトナムなどに偽造品の工場が多くあるというが、「スニダン」はそれぞれの工場で生産されたスニーカーも比較。鑑定歴15年以上という「研究所」の中村渉所長は、「特にわかりやすいのが、中底の縫い目。さらに、スニーカーのシルエットや縫製の精密さなども工場によって異なる。それぞれの特性を知ることで、偽造品の見分けるポイントになる」。内タグのフォントやQRコードのデザイン、縫い目の間隔、デニムのブリーチ具合なども対象だ。最近では、「ミズノ(MIZUNO)」や「ウーフォス(OOFOSS)」の偽造品も増えているという。

鑑定士は毎月のテストで技術を高め、レベルアップ

査定品には1〜5段階のレベルをつけていて、レアなものほど数字が高い。再販のないコラボ商品や限定商品、「シュプリーム」のボックスロゴ商品などがこれに該当する。鑑定士は、スニーカーショップの販売や鑑定の経験がある20〜30代が多い。それぞれの品は開封時にバーコードで管理され、それを読み取ることでパソコンに関連する独自の“見分けポイント”が表示される仕組みだ。鑑定士はこれらを基準にチェック。一人1日100〜200点を担うという。

新商品が発表されるたび、偽造品も増え、情報もアップデートしていかなければならない。そこで、鑑定士の目利きや技術力を高めるために月に一度、テストを実施。高得点を取れれば、レベルの高いアイテム、つまりより高度で偽造技術の高いレアなアイテムの査定も任されるようになる。中には、毎月満点の鑑定士もいるようだ。

「偽造品を社会からなくし、安心して本物が買える場に」

「鑑定研究所」設立を発表したこの日はソーダの創業7年目を迎える節目の日だった。「スニダン」はスタート当初から真贋鑑定を導入し、ユーザーに安心・安全を掲げるサービスを提供してきた。国内スニーカー二次流通市場においては、86%のシェアを誇る。今年の会員数は750万人を超える見込みで、流通取引総額は年間100億円ペースで成長を続けている。

内山雄太最高経営責任者は、「偽造品やトラブルが付きまとう現状に対し、私たちは“安心して本物が買える場所”をつくることに全力を注いできた。『鑑定研究所』は偽造品を見抜くだけでなく、偽造品が出回らない社会をつくるための拠点。世界中が熱狂する新しいマーケットプレイスをつくっていきたい」と語った。

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