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「“デュープ(模倣品)文化”が詐欺経済の成長要因」 真贋鑑定ビジネスのエントルピーが模倣品リポートを発表


同社のAI技術による鑑定では、過去1年間で91.6%が真正品、8.4%が鑑定不能と判定された。同社の調査によると、偽造被害が大きかったブランドの上位は「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「プラダ(PRADA)」「グッチ(GUCCI)」「シャネル(CHANEL)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」で、とりわけ、「グッチ」の偽造バッグは1219万ドル(約17億円)相当、「シャネル」に関しては5億4740万ドル(約788億円)相当の偽造品が検出された。

エントルピーは、“デュープ(模倣品)文化”が詐欺経済の成長要因になっていると指摘する。24年には、TikTok上の「#dupe」ハッシュタグが63億回再生されており、「デュープ探し」が模倣品を正当化し、模倣行為そのものを創造的なものとする風潮が生まれているという。同社の最高経営責任者は、「これは一種の反抗だ」と語る。「消費者は『この価格では買えない。この経済では無理。でも、欲しいものは欲しい』というメッセージを発している」。

さらに、同社は象徴的なできごととして、ウォルマート(WALMART)が販売した30ドル(約4320円)の“バーキン風バッグ“を挙げ、「ウォルマート製の“バーキン”がSNSで話題になったことで、『本物と偽物』『高級と模倣』の境界が一気に崩れた」と言及。「大手小売業者ですら模倣品を売っているのではないかという疑念が高まり、消費者の信頼は大きく揺らいでいる」と述べた。

エントルピーは、“デュープ品”と“偽造品”の法的区分が曖昧であることが、法的措置の難しさにつながっていると指摘する。さらに、偽造の背後にあるオペレーションは、ますます組織的・取引的かつ大規模化しており、チャットボットを利用した偽造取引も増加しているという。

模倣品の問題は販売だけにとどまらず、「返品詐欺」という形でも被害が広がっている。よくある手口は、購入した正規品の代わりに模倣品を返品するというもの。米国の小売業界における返品詐欺の被害額は24年に1030億ドル(約1兆4800億円)に達し、全返品の15%以上を占めた。

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