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「トッズ」、サプライチェーンにおける強制労働疑惑で捜査の対象に

ミラノの検察当局は2024年から同社のサプライチェーンを捜査しており、ロンバルディア州およびマルケ州に所在する一部の下請け業者において強制労働や劣悪な労働環境が見つかったとして、司法管理下に置くことを求めて裁判所に提訴した。しかし、裁判所は前者については「トッズ」が直接契約しているサプライヤーではなく下請け業者であることや、消費者に販売する商品ではなく従業員向けのユニホーム用の資材を製造していることなどを理由に訴えを棄却。また、25年5月の控訴審でも同様の理由で棄却されている。後者の下請け業者は、フットウエアのアッパー部分を製造しているものの、地理的に管轄権がないとして、ミラノの裁判所からマルケ州のアンコーナ裁判所に移管された。これに対して検察が上訴し、その過程で本件の捜査が明るみに出た。

「トッズ」は本件について、すでに裁判所が「検察の申立ておよび上訴を棄却した」と認識していると述べ、検察の新たな主張について、「提出された追加資料を、これまでと同様に冷静に検討している」とコメントした。また、追加で出した声明の中で、「あらためて強調するが、当グループはプロフェッショナルな行動の規範として広く評価されており、従業員の健康と生活の質を常に最優先にしてきた」と述べ、企業が安心して活動できるようにする一方で、厳格な品質管理と労働の尊厳の尊重を同時に担保する規則の整備が絶対に不可欠であると述べた。これにより、世界におけるメード・イン・イタリーの評判を守り、消費者の信頼を損なう疑念を未然に防ぐことができるという。さらに、検察当局に対し、同社および多くの企業の施設を訪れ、職場の質と労働環境の優秀さを直接確認するよう招待したことも明らかにした。さらに同社は、「イタリアのラグジュアリー企業が高価な製品を販売する一方で労働者に低賃金しか支払っていない」という見解は根拠がなく、国家経済システムに重大な損害を与えるものだと強調した。

トッズ・グループのディエゴ・デッラ・ヴァッレ(Diego Della Valle)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「トッズ」のサプライチェーンにおける強制労働疑惑をめぐるミラノ検察の対応を批判。同グループ製品の「絶対的な品質は、当社があらゆる手段で監督する職人技によって支えられているし、工房や若い人材の雇用など、われわれをよく知る人々は理解している。にもかかわらず、まるでわれわれが真の犯罪者であるかのように軽々しく語るのは、恥ずべきことだ」とし、こうした非難が“メード・イン・イタリー”に及ぼす波及効果を軽視すべきでないと主張した。

過去2年で「ロロ・ピアーナ(LORO PIANA)」「ヴァレンティノ(VALENTINO)」「ディオール(DIOR)」「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」などのラグジュアリーブランドがサプライチェーンの監査を十分に行っていなかったとして捜査を受けている。

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