イタリアの「ロロ・ピアーナ(LORO PIANA)」が、サプライチェーンにおける労働搾取の疑いを受け、ミラノ裁判所によって司法管理の対象となった。
「ロロ・ピアーナ」によると、「(『ロロ・ピアーナ』と契約している)サプライヤーが、法的および契約上の義務に違反して、一部下請業者の存在を『ロロ・ピアーナ』に報告していなかった。『ロロ・ピアーナ』は5月20日に本件を把握し、24時間以内に当該サプライヤーとのすべての取引関係を解消した」という。
さらに、「『ロロ・ピアーナ』は、いかなる違法行為も断固として非難し、人権の擁護およびサプライチェーン全体にわたる関連法規の遵守に対する揺るぎないコミットメントを改めて表明する」とし、「全サプライヤーが『ロロ・ピアーナ』の行動規範に基づく最高品質・倫理基準を遵守することを確実にするため、監査および管理活動を継続的に見直し、今後も強化していく」と述べた。
一部報道では、「ロロ・ピアーナ」が販売する3000ユーロ(約51万円)のカシミヤジャケットが、実際には下請け業者によって100ユーロ(約1万7200円)で生産されているとされているが、同社はこれを否定している。「報道されている金額は、当社がサプライヤーに支払っている金額を示したものでも、原材料や生地などすべての要素を考慮した金額でもない」と説明する。
今後について「ロロ・ピアーナ」は、「本件に関して、関係当局に対して全面的に協力する意思があり、さらなる調査についても全面的に支援する」と付け加えている。
過去には「ジョルジオ・アルマーニ」や「ディオール」も
こうした調査の対象となったのは「ロロ・ピアーナ」だけではない。「ジョルジオ・アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」や、「ロロ・ピアーナ」と同じくLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)傘下の「ディオール(DIOR)」も、労働環境が不十分なサプライヤーの使用や、倫理的基準・労働慣行・職人技に関する消費者への説明責任の欠如が疑われ、調査を受けてきた。両ブランドは、サプライチェーンや労働慣行の改善措置を講じたことで、司法管理措置がすでに解除されている。
また、「アルヴィエロ・マルティーニ(ALVIERO MARTINI)」も労働搾取疑惑で調査を受けており、今年5月には「ヴァレンティノ(VALENTINO)」のバッグ製造を手がける事業部門の下請業者による労働虐待が発覚したことを受け、ミラノ裁判所によって1年間の司法管理下に置かれている。この措置を受け、「ヴァレンティノ」はサプライチェーン全体で評価プロセスを強化していると説明し、「今回の司法措置に至った経緯を完全に把握するため、関係当局と協力していく」と表明している。