
シャツにフォーカスした今回のリアルトレンド号を締めくくるのは、ドレスシャツ専門ブランドの企画担当者と百貨店のバイヤーへのインタビュー。百貨店とブランドという異なる現場で日々市場の変化を見据える2人の専門家は、ドレスとカジュアルがクロスオーバーする今のシャツ商況とトレンドをどう見るのか。話を聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2025年12月8日号からの抜粋です)
ISETAN
シャツは“本物で遊ぶ”時代へ
着用頻度が低下したからこそ価値を再定義
ドレスシャツを着る頻度は、コロナ禍以降減ったままだ。売り場での数量もまだ9割ほどにとどまっている。ただ、頻度が減ったぶん、“とりあえず既製品”ではなく、自分に本当に合う一枚を選びたいという意識が一層強まった。実際、客単価は120%に伸び、4万円以上の価格帯のシャツは前年同期比約170%と伸びている。
今の市場で外せないのが“シャツ=アウター”という考え方。テーラーやニットブランドまでもが、軽い羽織りとしてのシャツを提案する。ただし「マルニ(MARNI)」などから始まった極端なオーバーサイズシャツは、百貨店のドレスシャツ売り場の顧客には難し過ぎるので、実際に動くのは身幅100〜110cmの“脱・ぴったり”サイズ。タックインもアウトも成立する、ほどよいゆるさが支持されている。色味で言えばここ数年は「ロロ・ピアーナ(LORO PIANA)」や「ブルネロ クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」などに見られるスモーキーカラーが人気だ。
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