ファッション

世界遺産・厳島神社の玄関口に文化を感じ、考え、確かめる空間が誕生 【トラベルライター間庭がハコ推し!】

旅の質が重視される今、コンセプチュアルなホテルが注目されている。広島県・宮島口に2026年3月末に開業する「ホテル フォーク アンド ナイフ ミヤジマ(HOTEL FOLK & KNIFE)」は、文化と感性に寄り添うカルチャー・リトリート体験ができる場所。眺望の天然温泉やローカルガストロノミーを堪能するレストラン、ギャラリーを備え、五感でカルチャーと向き合う。都内で開かれたプレディナーイベントに参加し、その世界観にいち早く触れてきた。

磨き抜かれたデザインと伝統の融合
広島のカルチャーが響く新鋭ホテル

2026年3月28日に開業する「ホテル フォーク アンド ナイフ ミヤジマ」の発表会が渋谷某所で開催された。その日だけの特設レストランでは、ディナーで提供される11品のコースのうち、6皿をテイスティングしつつ、巨大スクリーンに投影した映像で、その世界観を共有した。

フォークとナイフというネーミングどおり、広島の食材のポテンシャルを引き出す創作料理の美食体験が滞在の目的。そして、空間デザインも見どころだ。広島の文化や歴史を感じられる要素が随所に散りばめられ、ホテルエントランスロビーは「能舞台」をモチーフにしたギャラリースペースに。各客室は木のぬくもりを感じる和モダンに仕上げている。最上階には天然温泉とサウナを備えた温浴施設が。水着着用の男女混浴で、宮島・厳島の景観が広がる開放的な空間だ。宮島ビューというロケーションを最大限に生かした五感を刺激する施設が誕生する春が、待ち遠しい。

この施設がユニークなのは、霞ヶ関キャピタルグループのFHG HOTELSとGREENINGよる共同企画・開発体制にある。まず、FHG HOTELSは全国でホテルを急速に展開しており、現在20棟を開発。グループステイに対応する「fav / FAV LUX」や“ラグジュアリーを遊べ”を掲げる「seven x seven」などを展開するホテルチェーンだ。一方のGREENINGは、その地域ならではの文化や歴史を丁寧に読み解きながら、未来へとつながる新たな価値を生み出す街づくりを推進。カルチャービジネスホテルという新たなカテゴリーを築く「BASE LAYER HOTEL」、110年以上の歴史を受け継ぐ登録有形文化財を活用した「沼津倶楽部」など、飲食・ホテル・商業施設を中心としたプロジェクトを手がけてきた。今回の施設でも、建築家、ギャラリスト、シェフがそれぞれの視点で参画し、それはまるで丁寧に編まれた連作小説のよう。「広島」「伝統文化」というテーマがより鮮やかに感じられた。

土地と調和した建築美を
堪能するのも滞在の醍醐味

ロビーにあるアート展示スペースは、国の重要文化財である厳島神社の能舞台に着想を得ている。天井からは、広島県でつくられた提灯の照明がやわらかな光を放ち、舞台はアートの展示スペースとなっている。この空間を手掛けたのは建築家であり美術家の佐野文彦氏だ。奈良県出身の佐野氏は数寄屋建築の名匠・中村外二工務店に大工として弟子入りし、年季明け後、設計事務所を経て2011年に独立。文化を表現する空間づくりを得意とする。建築からアートまで領域横断的に活動し、林業や日本酒など、日本の歴史や文化に深く根ざしたものの価値をアップデートすべく、活動の幅を広げている。

プレディナーイベントでは、GREEENINGの川又祐介社長や霜降高明ブランドプロデューサーによる施設紹介に始まり、佐野氏による設計に関する解説も。約2400㎡の敷地面積に、客室はわずか34室。スモールラグジュアリーホテルといえるだろう。杉や檜といった自然素材と職人の匠の技が光る上質な空間の部屋の客室は10タイプ。共通しているのは広島の木材を生かしたぬくもりのある和モダンなデザインだ。小上がりや無垢材の柱など、日本の伝統的な意匠を取り入れている。宮島ビューのプライベートバルコニーがある客室が多いことも特徴で、瀬戸内をクルージングしている錯覚を起こしそうだ。

広島ならではの味覚を
薪火料理で極めた美食体験

五感を最も刺激してくれるのが、地域に根差した食文化や食材、そして伝統的な調理法をリスペクトした「ローカルガストロノミー」だ。広島の奥深い食の背景に、薪火をはじめとする新たな表現を取り入れた、ここでしか味わえない美食体験を提供する。

海の幸にも山の幸にも恵まれ、「日本の縮図」とも呼ばれる自然豊かな環境を持つ広島県。 地元ならではの旬の食材を生かした 全11品を、一皿ずつ丁寧に提供。ミシュランガイド1つ星の魚介フレンチ「abysse」で スーシェフ(副料理長)を務め、現在、魚介ビストロ「PEZ(ペス)」のオーナーシェフとして腕を振るう石浜綾シェフがディレクションしている。

最初の一皿は広島湾産の真牡蠣。発酵レモンと松塩、松醤油で素材の旨味を引き出した。樽の香りが印象的な、せらワイナリーのシャルドネといただく。山、畑、海の恵みが交じり合う茶碗蒸しには白牡丹の純米吟醸の萌えいぶきをペアリング。そう、忘れてはいけないのが、広島県は日本でも屈指の酒どころなのだ。なかでも白牡丹酒造のある東広島市の「西条」は、兵庫県の「灘」、京都府の「伏見」とともに日本の三大酒どころと呼ばれている。数年前に西条を訪れたのだが、駅から徒歩圏内に7酒蔵があり、それぞれ酒蔵見学や展示、利き酒のできるカウンターなどを備え、まるで日本酒のテーマパークだった。映画のセットのような古い町並みもなんともフォトジェニックだ。

今宵限りのレストランではホタテの天婦羅 生七味や真鯛などデザートを含む6品が続いた。西条をはじめとする銘醸地の日本酒や、 広島各地のワインやクラフトビールなどとのペアリングも秀逸で、一皿ごとに異なるハーモニーを奏でる。広島県は鶏や和牛などの畜産も盛んなので、肉料理も楽しみだ。

そしてディナーの締めくくりは土鍋ごはん。店内には精米機があり、その都度精米したお米を、土鍋で丁寧に炊き上げるという。今回は菜の花をアクセントにした穴子飯。合わせたのはno.505 Hiroshima Wineryの赤ワイン。穴子飯に赤?と思ったのだが、穴子の骨からつくった甘タレによく合い、ご飯が進む。朝ごはんも炊き立ての土鍋ご飯のお膳がいただけるそう。

広島の食文化を堪能できるローカルガストロノミー。炎が生み出す香ばしさやライブ感も迫力。郷土料理や伝統的な調理法を再構築した、ここでしか味わえない広島料理と向き合える。

宮島を望むスパやバーラウンジで
五感を刺激し、カルチャーの海に漂う

宮島口に開業する「ホテル フォーク アンド ナイフ ミヤジマ」は、伝統や文化を感じて、考えて、確かめるための拠点でもある。館内のバーラウンジは中心に囲炉裏を据え、県内の酒蔵で造られた日本酒や、広島のナチュールワインなど、国内外のインポーターが選び抜いたワインを取りそろえる。料理と響きあうお酒の情報収集、選定をし、編集するキュレーションを重視。このバーラウンジは味わい、体験するギャラリーでもある。

広島のセレクトショップ「ref.」による「ref. Miyajima」というショップもオープン。ここではあえて広島発にこだわらず、国内外の職人による上質なプロダクトを選び、ここでしか出合えない品ぞろえを目指すそう。ディレクターは中本 健吾氏。ショップだけではなくライブラリーの展示など、ソフトコンテンツ企画にも参画する。

もちろん、アートギャラリーとしても機能。アートキュレーションはLandscape Productsが担当する。館内アートは「繋泊(けいはく)」をコンセプトに、書・水墨画・日本画・陶芸など伝統美術をモダンに表現した、新城大地郎、水津達大、アンティーク・アートMasaなどの作品を展示する。
1日の終わりや始まりには最上階のスパへ。宮浜温泉に癒され、宮島の景観を満喫しよう。

エキサイトとリラックスの両方を
体感するラグジュアリーホテル

今なら開業記念特別プランも予約受け付け中だ。公式サイトを経由すると2026年3月28日の開業日から9月30日までの宿泊が、通常価格から最大30%OFFになる。波がキラキラときらめく春先もよし、真夏の瀬戸内海もよし。今からこの夏のバカンス計画を練りたくなる。

私なら・・・豊島や直島、犬島などをめぐり現代アートの島ホッピングをしてみたい。瀬戸内海には見るべきアート、体感すべきアートが各島にあり、インバウンドの旅行者にも人気のエクスペリエンスとなっている。

前出した酒どころ、東広島の西条にも再訪したい。家族経営のこじんまりとした酒蔵も多く、造り手の交流も楽しめる。駅から徒歩圏内に7つの蔵が点在しているので、運転の心配なく、ほろ酔いで利き酒巡りができるのも楽しい。

世界遺産・宮島はもちろん、見どころ、グルメスポットが多い広島県。味覚を、アートを、大自然を体感する旅を「ホテル フォーク アンド ナイフ ミヤジマ」を拠点として楽しみたい。

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