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アクティブ派にこそすすめたい、コスパもタイパも抜群のクルーズ旅 【トラベルライター間庭がハコ推し!】

旅の質が重視される今、気分や価値観に添い、心から満足できるホテルが求められている。移動やグルメ、エンタメなどがインクルーシブなクルーズ旅は快適で優雅。なかでも2024年12月に就航したばかりの「三井 オーシャン フジ(MITSUI OCEAN FUJI)」は全客室がスイートで、スモールラグジュアリーホテルのようなクルーズ船だ。ワインやカクテルなどのドリンクもクルーズ代金に含まれ、自由度も高く、実はアクティブな若い世代にこそ、激推ししたくなるプランだった!

移動そのものを楽しむクルーズの旅 神戸港からの乗船も楽々

移動こそ旅の醍醐味。新幹線も良いが、18きっぷの各駅停車の車窓の楽しさ、長距離フェリーの船旅など、のんびりと移動するのが私は好きだ。その楽しさをラグジュアリーに格上げしたのがクルーズ船の旅。今回、半年前に就航したばかりの「三井 オーシャン フジ」に乗船する機会があった。船内取材の経験はあるが、実はクルーズそのものを体験するのは初めて。全室スイートのオーシャンビュー、約9割の客室にバルコニーがあるという優雅さ、まさにスモールラグジュアリーホテルだった。

今回の航路は神戸港から。多くのクルーズ船は三宮駅からポートライナーで2駅目のポートターミナルから出航する。新幹線の新神戸駅からもタクシーですぐ。そして駅を出ると目の前が港であることに驚いた。まるで駅前ターミナルからバスに乗り込む気軽さでチェックイン。

大きなクルーズ船はチェックインに時間がかかったりしてストレスフルなこともあると聞くが、「三井 オーシャン フジ」の場合、上のクラスメンバーや客席ごとに受付時刻が違い、なんともスムースだった。ここで預けたトランクは部屋の前まで運ばれ、手荷物だけで乗船。受付時に顔写真をクルーがチェックでき、フォトIDとしても機能するルームキーが渡される。

「三井 オーシャン フジ」は商船三井クルーズが運航する日本の船ではあるが、外国籍なのでパスポートはマスト。外国籍の船の場合、必ず1回はクルーズで外国に寄港しなくてはいけない規定があるのだそう。空港のような出国手続きがあり、保安検査場も通過する。乗船したらそこは海外だ。こんなにすんなりと出国することに驚きつつ、いつもと違う旅に期待が高まった。

出港するとプールサイドではセイルアウェイパーティが開催され、ハウスバンドによる演奏、シャンパングラス片手に見る神戸の港の風景はまた格別。デッキ10前方のバーでもカクテルを楽しめ、映画のような風景が広がる。もちろんパーティーの参加費やドリンクもオールインクルーシブだ(一部別料金のドリンク有り)。日本人以外でも日本語が堪能なスタッフばかりで、その点でもストレスなし。

食事そのものも娯楽となり、健啖家も圧倒される充実ぶり

船内探検をした後は、腹ごしらえ。ビュッフェスタイルのレストラン「テラスレストラン 八葉」、夕食には日ごとに洋食、和食のコースが提供される「ザ・レストラン 富士」、三國清三シェフによる本格フレンチが味わえる「北斎FINE DININGレストラン」、24時間オーダー可能なルームサービスなどがあり、朝食やランチはラウンジやカフェがある複合施設「三井 オーシャン スクエア & カフェ」や「プールサイドレストラン & バー 湖畔」など、さらに選択肢がひろがる。食のバリエーションが豊かなのも、このクルーズ旅の魅力だ。

初日は乗船歓迎スペシャルコンサートやダンスパーティーに参加したく、好きなものをさくっと選べるビュッフェにした。ドリンクメニューを手にして「なぬーっ!」と、思わず2度見。グラスワインの豊富さが半端じゃない。白とスパークリングがそれぞれ3種、赤4種、オレンジワインやデザートワインまで並び、目が泳ぐ。カクテルもスタンダードなものから、ユニークなシグニチャーカクテルまでさまざまだ。有料ではあるが、希少なウイスキーやボトルワインもずらりとそろっている。

クルーズ船は時間もお金も余裕があるシニア世代のもの、と思っていたが、健啖家でアクティブな若い層にこそ、激推しすべきコンテンツかもしれない・・・!

その日の食をプランニングする楽しさも。組み合わせは自由自在

食事の時間がきっちり決まり、毎回コース料理と決まっているクルーズ船もあるそうだが、この船は自由!「ザ・レストラン 富士」でコース料理を堪能した後に、「テラスレストラン 八葉」のビュッフェに立ち寄り、好きなメニューをちょっと味わうような贅沢も。23時までオープンしているバーもある。

朝ごはんを数カか所「はしご」するという猛者も。ラウンジやバーでもパンやコーヒーなどの軽食が提供され、これもまたゆったりできてよかった。「MITSUI OCEAN スクエア」には作業しやすいデスクスペースがあるので、カフェラテを手に、デザート感覚のデニッシュを食べながらメールチェック、というのも滞在中のルーティンとなった。一口ずつ味わえるサイズのスムージーやサラダなども並び、目が泳ぐ。午後にはプチサイズの色とりどりなケーキも。ミモザやブラッディメアリーなどのカクテルも提供され、朝7時から夜7時までカフェはオープン。日に何度も立ち寄りたくなる居心地のいい空間だった。
※各施設とも営業時間は日により異なる場合もある

豪華客船ならではのクオリティーの高さにも感動。メーンダイニングである「ザ・レストラン 富士」の洋食の朝食はコース仕立て。最初にスープがサーブされ、チーズやトマトなどを自分で選んだふわっふわのオムレツとサラダが続く。デニッシュやグラノラなども選べ、フルーツで仕上げる極上の朝ごはん。

大海原を独り占めできる空間、バルコニーでのルームサービスでの朝食も最高だ。私はお重に入った和定食を選択。お粥を選ぶこともできるから、胃を休めたいときにはちょうどよさそう。実際、あまりに美食の日々が続き、バーでコーヒーと小さなパンだけに抑えた日もあった。絶好の眺めでこれもまた記憶に残る朝ごはんとなった。

昼から夕暮れのカクテルタイムまでは、プールサイドの「プールサイドレストラン & バー 湖畔」で小ぶりなバーガーやピザをつまむのもいい。デッキにはジェットバスもあり、ライブなどのコンテンツも満載。その日の体調や気分にあわせて食を「デザイン」できるのが楽しかった。

クルージングならではのエンターテインメントに心が躍る日々

滞在中は毎日、客室のポストに届く船内新聞で天気やダイニングなど船内の施設の営業時間(航海日と寄港日など、日によって異なるので重要!)などの情報をチェックできる。一番の注目は朝から晩まで各所で開催されるイベントスケジュールだ。ライブやダンスパーティー、参加型のゲームやエクササイズ、スパでのマッサージ体験など多種多彩だ。船内新聞とにらめっこしてその日の予定を組むのはわくわくした。時間が許す限り、体験したのだが、その中でも印象的だったコンテンツをあげてみる。

心震えたのはオーシャンステージのプロダクションショーだ。ハウスバンドによる演奏、専属シンガーズ&ダンサーズによるので、どのクルーズに参加しても同じクオリティーのパフォーマンスを鑑賞できる。しかもダンサーにけられそうな至近距離の席で。歌や踊りのレベルの高さにも圧倒され、曲の世界観に合わせた衣装や映像でその世界観に引き込まれた。うっとり。

意外に盛り上がったのは巨大ジェンガ。20人くらいが円陣になり、ひとつのピースが金の延べ棒のような大きなジェンガで勝負したのだが、不思議な一体感があり、興奮した。おはじきや輪投げ、ボッチャやモルックなどの参加型のゲーム大会は各所で開催され、人気が高かった。

朝は「歌謡曲エクササイズ教室」に参加。ピンクレディやラッツ&スターの名曲など、懐かしの昭和歌謡にあわせてステップを踏むというもの。シンプルな動きの繰り返しで、誰でも気軽に挑戦できる。その後のズンバはかなり激しく上級者向け?参加してみればよかったな、と後悔したのは、「三井 オーシャン フジ」ダンサーズが講師となる社交ダンスのレッスンだ。あの優雅な動きでレクチャーしてくれるなんて貴重!次こそは・・・!

オーシャンステージが寄席となる日も。メーンショーでの落語は聞き逃してしまった私は、翌日のワークショップに参加。これが楽しかった!参加者には扇子と手拭いが渡され、落語に登場するそばの食べ方、手紙の読み方など仕草のコツを師匠に学んだ。体験型としては救命胴衣を着けプールに飛び込んでみる安全責任者マルコによるセーフティ講座もユニークだ。船内ではアート&クラフトや寄港地説明会などのセミナーも開催され、終日、洋上で過ごす航海日でも大忙しであることを実感した。

寄港地の韓国・済州島では市場を歩き、ツアーに参加

私が体験した航路では、韓国の済州島、那覇、奄美大島、宮崎県の細島などに寄港したのだが、そのそれぞれの港からのサポートも「三井 オーシャン フジ」ならではだ。例えば韓国の済州島では港から街の中心地までの無料シャトルバスを運行。自由行動もしやすかった。9時に入港し、港で入国手続き。朝は東門市場へと散策することにした。済州島は柑橘の産地でもあり、搾りたてのジュースはとびきりフレッシュ!アワビのお粥やウニのビビンバなどの海鮮グルメも有名らしい。

午後はツアーに参加。済州島の世界遺産でもある城山日出峰をハイキングし、済州海女博物館を巡るというコース。船内で集合し、出国も入国も一緒に行動するから安心だ。港から城山日出峰までは70分ほどで、バスの中でのガイドさんの案内も愉快!聞けばクルーズのツアーはガイドさん1 一人が通常だが、「三井 オーシャン フジ」の寄港地観光ツアーはアシスタントガイドもつくので、きめ細やかな案内ができるのだとか。城山日出峰登山はかなりハードだが、一緒に登り、解説してくれるガイドさんたちが励みになった。頂上は絶景! 

麓におりてからのみかんアイスクリームの美味しかったこと!寄港地にいる間、外出せずに船内でゆったりと過ごすこともでき、みなそれぞれの済州島滞在を楽しめる。これもまた贅沢。

洋上とは思えないラグジュアリーさと機能性を両立させた客室

大忙しなクルーズライフだが、客室での時間こそエンタメだった。まずはプライベートバルコニーからの眺め!部屋に入るとスパークリングワインがおしゃれなワインクーラースタンドにセットされており、海を見ながら乾杯。ウェルカムドリンクとスイーツは全ての客室に標準として付くサービスらしい。すごい。ゆとりのある設計で、バスタブやウォークインクローゼットなども広々。落ち着きのあるシックなインテリアでここが船内だということを忘れてしまいそう。ルームサービス(費用に含まれている!しかも24時間!)もありこもっても快適。原稿執筆にも集中できた。まずい。室内が心地よすぎて、せっかくのコンテンツをいくつか見逃してしまった。機能性も秀逸。すべてが柔らかく優しい。フットライトもパチッとつくのではなく、ふんわりと徐々に明るくなって照らす。収納の多さにも驚いた。ここなら1年でも暮らせる!

寄港地でのからの観光からに帰ってきたとき、ショーの高揚感を胸に部屋に戻るとき、「私の船に」「私の部屋に」帰ってきた!という気持ちになれた。それくらい愛着のある居場所となった。上級者の中にはマグネットや小さなマスコットなどをドアに飾っている人もいて、「これはいいアイデア!」とうなった。同じような扉がずっと続くから、表札代わりがあると分かりやすい。次回のクルーズではなにか自分らしい目印を用意しよう。

そのほかに必要!と思ったのは大ぶりのアクセサリーやビビッドカラーのアイテム。クルーズコレクションとはよく言ったもので、イベントの多い船上や太陽の下のデッキでは、華やかなスタイルがちょうどいい。「三井 オーシャン フジ」ではフォーマルがドレスコードの夜もあり、船長によるウェルカムパーティーも催される。カクテルドレスやタキシードでびしっと決めた紳士淑女の中ではコットン生地のロングワンピースでは軽く、もっと光沢の素材や露出にこだわればよかったと反省。非日常のファッションもエンタメなのだから・・・!

結論 スモールラグジュアリーなクルーズを選ぶ意味とは?

そう!非日常を楽しみ、華やかな日々を日常にすることこそ、クルーズ旅の醍醐味。ファッションを味方にしてヒロインになりきるのだ。初めてクルーズを体験する私にとっては「三井 オーシャン フジ」は山のように大きな客船だったけれど、世界には総トン数25万トン以上、7500人以上の乗客を収容できるクルーズ船もあるらしい。街ごと移動する感覚!日本で最大級の飛鳥も5万トン以上、乗客定員も飛鳥IIが約870名、飛鳥IIIは740名という規模。確かに32477トン、乗客定員458人名の「三井 オーシャン フジ」はスモールラグジュアリーホテルのような感覚だ。クルーともすっかり顔見知りになり、名前で呼び合うような仲に。巨大客船が街だとしたら、村。そんな温かみのある交流がゲスト同士にも生まれて和やかだった。

小回りの利く船だけに、沖縄の久米島や座間味島、瀬戸内海の小豆島や鹿児島の指宿など大型船では立ち寄れない小規模な港にも寄港できることもメリット。まだ知らない日本を探検できる。

またスモールラグジュアリーの極みは「北斎FINE DININGレストラン」だろう。ここはあの三國清三シェフが監修したファインダイニング。「三六スイート」以上の客室に滞在すると1クルーズにつき1回、2名まで含まれているが、1人1万5000円で予約することも可能。アミューズから始まり、伊勢海老やイガウニなどの海の幸の前菜は5種もあり、選ぶのに迷うほど。チーズワゴンまで登場する本格的なフルコースを洋上で楽しめるなんて!前菜やメーンにはベジタリアンメニューもあり、ここでも好みやその時の体調に気分に合わせて選べる。そしてなんといってもワインや日本酒などのアルコールも一部を除いてインクルーシブ。三國シェフによる本格フレンチをワイン込みでこの価格帯というのはここだけだろう。

移動や宿、食事や各種アクティビティーなど、滞在中の費用はほとんど全てすべて含まれ、お財布を触る機会はほとんどなかった。(済州島の市場でだけ!)極上の旅を自在に「デザイン」し、洗練されたスモールラグジュアリーのホテルでくつろぐような旅。アクティブな層にこそ、選んでほしいクルーズ旅だ。

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