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長野の発酵文化と温泉に癒される体験型リゾートを推進するマリオット【トラベルライター間庭がハコ推し!】

旅の質が重視される今、コンセプチュアルなホテルが求められている。「軽井沢マリオットホテル」では美食を軸としたプランを展開。長野の発酵食品の製造現場へのツアー、長野ワインとのペアリングを堪能できる発酵ディナーコースを提供する発酵リトリートプランも。行政や地元企業との連携で、マリオットホテルは各地域の魅力を発信している。

長野の発酵文化に触れ、
癒されるリトリートメント旅

先日、「軽井沢マリオットホテル」が企画した発酵リトリート旅のプレスツアーに参加した。地域の企業とともに発酵食品の魅力を発信する「発酵バレーNAGANO」とのコラボレーションによる「Fermenting Peace Stay(ファーメンティング ピース ステイ)」という宿泊プランだ。10月18日から土日限定で開始し、計4回、11月15まで実施した。長寿県でもある長野の発酵文化について学び、旬の食材を発酵食品による奥深さを味わう美食を堪能するという体験型リゾートを推進している。

まずは「おとなの社会科見学」。ホテルのバスで野沢菜漬けの老舗「やまへい」やワイナリー「リュードヴァン」の工場を見学し、野沢菜の食べ比べやワインのテイスティングも体験。千曲川ワインバレーを代表する産地の1つであり、ぶどう畑が広がり、まるでヨーロッパのどこかの国を訪れたような景観。「アトリエ・ド・フロマージュ」の工房や世界的なコンクールで何度も金賞に輝いたチーズ職人のお話を聞く。もちろんチーズの食べ比べも。くう~~この瞬間にワインが必要!と買ったばかりのシャルドネを抜栓したくなった。味噌で漬け込んだチーズも絶品。こちらは日本酒とも相性がよさそう。八ヶ岳などの雄大な山々を背景とした美しい工房で、ヤギがのんびり草をはんでいたりしておとぎの世界のよう。ショップでのお買い物も盛り上がった。これらの発酵の製造現場を、バスで効率よく巡れるのはツアーならでは。参加者全員で試飲できるのもうれしい。

ホテルにチェックインした後は、温泉でリラックス。大浴場の小瀬温泉は角質や毛穴の汚れを洗い流してくれる美肌の湯、客室内の塩沢温泉は体の芯まで温まるナトリウムー塩化物・炭酸水素温泉と泉質も違う。温泉アドバイザーによる温泉入浴指南書を手に、湯治気分でゆったりと過ごす。湯上りドリンクとして地元企業マルコメの「プラス糀 米糀ミルク」が用意され、ここでも発酵の力を体感。じわじわじわ~~~とほどけるように癒される。

発酵食品と旬の味覚、さらには
長野ワインのペアリングを堪能

ディナーはツアーで訪れた製造現場をはじめ、長野の発酵食品を取り入れた発酵ディナーコースを、進化しているNAGANO WINEとのペアリングでいただく。さんまのコンフィ×やまへいの野沢菜のジェノベーゼ添え、フォアグラのテリーヌ×マルコメ10年熟成味噌、信州サーモンのタルタル そば粉のクレープ包み×アトリエ・ド・フロマージュのブルーチーズソースというように、奥深い味わいに。塩麹や米麹、味噌や甘酒など、アミューズからデザートにいたるまで発酵食品をテーマにした料理が続く。ワインソムリエが厳選した長野ワインも絶妙。アルコールが苦手な場合は、華やかなモクテルなどのノンアルドリンクとのペアリングも楽しめるのでご安心を。

評判の朝ごはんにも驚いた。以前、取材で訪れた友人ライターに「軽井沢マリオットホテルの朝ごはんは心して挑むべし!」とアドバイスされ、本気を出した。和食、朝食とホテルのブッフェスタイルの料理はもちろん、「信州ローカルステーション」なるコーナーもあり、信州牛と野沢菜のカレーや信州みそがゆなど、信州食材と発酵食品を生かした料理が並ぶ。安曇野産葉ワサビ醤油付けなど10種以上の漬物を食べ比べてみるのも楽しい。サラダに合わせるのも信州みそやりんごなどのご当地ドレッシングと徹底している。その場でオムレツをシェフが焼いてくれるエッグステーションでは、チーズ×野沢菜の組み合わせを提供。信州味噌のラーメンにも野沢菜などの発酵食品のトッピング。朝食でも発酵食品の美味しさに目覚めた。ブッフェでは3種類のチーズ、フレッシュなスムージーなどもあり、浅野屋のパンなどの軽井沢グルメも豊富。和食、洋食、両方をフルで味わいたくなり、全てのお料理を制覇できず、食いしん坊の私も完敗・・・とひれ伏した(笑)。いつか2泊して、初日はごはん、翌日はパンと挑むしかない。それくらいバリエーション豊かで上質なブッフェだった。

「発酵バレーNAGANO」との
連携により滞在中は発酵三昧

「軽井沢マリオットホテル」の発酵リトリート旅ではスパでも発酵の力で整える。併設の「庵スパ」では「こうじの恵トリートメント」をツアーのオプションで用意している。お米と麹、武尊山の伏流水のみで仕込まれた土田酒造の無添加日本酒を使用したコスメで、施術後には美容液やクリームのトライアルセットもいただける。肌に吸い付くような豊潤なテキスチャーで、翌日までもっちもち。酒蔵職人 杜氏の手のようにしっとりした。温泉との相乗効果も期待できそうだ。とにかく全方位から発酵の豊かさを体感できるのだ。

これらは共同事業団体「発酵バレーNAGANO」と軽井沢マリオットホテルとのコラボレーションで実現したプラン。「発酵バレーNAGANO」は地元発酵食品会社352社と連携し、長野の発酵食品をブランディングしている。今回のプレスツアーでも事務局長で発酵食品の研究者でもある吉川茂利さんが案内してくれ、長野の発酵食品産業のなりたちや発展に関しても解説してくれた。長野は降雪も多く、山に囲まれた立地。物流が困難になるため、長い冬を過ごす保存食として発酵食品が広まり、醤油や味噌、酢などの調味料、納豆や日本酒、漬物などが信州の伝統食品となった。冷涼で雨が少ない気候も発酵に適しているのだそう。熟成させることで旨味が増し、今ではチーズやワインなどの発酵食品は世界に誇れる品質となった。

「発酵バレーNAGANO」は行政や地元の企業とともにさまざまな「発酵ツーリズム」企画している。しなの鉄道、長野県と連携し、観光列車「ろくもん」車両での「発酵バレーNAGANO特別号」を運行したり、発酵を知るペアリングコースを考案したりするなど、発酵の奥深さをさまざまな方法で発信している。今後は蔵めぐりツアーのプラットフォームやマルチ言語対応ツアーなども構想中だという。

体験型リゾートが目指すのは
地域の活性化と

「心にも旅を」をキャッチコピーとするマリオットは世界各地で500施設以上展開しているブランド。これは個人的な感想だが、美食をテーマにその地の文化や風土に触れられるようなメニューやイベントが豊富だ。例えば「伊豆マリオットホテル修善寺」ではクラフトビール文化の発信地「ベアード ブルワリーガーデン修善寺」見学ツアーなども開催。「琵琶湖マリオット」は琵琶湖でSUPやクルージングや、陶芸体験やいちご狩り、延暦寺での座禅のプランもある。サイト「アソビュー」と連携し、施設内にはなんとプラネタリウムの施設があるなど、体験型の滞在ができる。「南紀白浜マリオットホテル」では「クエ日和会席プラン ~とことん味わうクエの魅力~」や和歌山県産みかんをあしらったみかんづくしのイブニングハイティー付き宿泊プランなど、美食を目的とする滞在プランも多い。旅を体験につなげる仕掛けづくりが得意なのだ。

ビジネスユースも視野に入れた「コートヤード・バイ・マリオット」やよりシンプルでリーズナブルな「フェアフィールド・バイ・マリオット」などの系列ブランドも、体験型の旅を後押ししてくれる。マリオットホテルが牽引する体験型の旅は、地域の魅力に出合う旅。そして「旅」をきっかけとした、地域の活性化を目指している。日本各地を巡ることで日本も元気になり、自分自身も力がみなぎりそうだ。

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