
LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は、クリスチャン ディオール クチュール(CHRISTIAN DIOR COUTURE)の副最高経営責任者(CEO)として、現在フェンディ(FENDI)のCEOも務めているピエール・エマニュエル・アンジェログロウ(Pierre-Emmanuel Angeloglou)LVMHファッショングループ マネージング・ディレクターを任命した。また、ルイ・ヴィトンの副CEOとして、ロロ・ピアーナ(LORO PIANA)のダミアン・ベルトラン(Damien Bertrand)CEOを任命した。
これに伴い、ロロ・ピアーナのCEOには、ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼CEOの三男であるフレデリック・アルノー(Frederic Arnault)LVMHウオッチ部門CEOが就任する。
アンジェログロウ=クリスチャン ディオール クチュール新副CEOは4月15日付で、ベルトラン=ルイ・ヴィトン新副CEOは6月10日付で着任する。アルノー=ロロ・ピアーナ新CEOは、業務のスムーズな引き継ぎのため3月26日付でロロ・ピアーナに移籍し、やはり6月10日付で正式に着任する。
アルノーLVMH会長兼CEOのコメント
アルノー会長兼CEOは、「当社の傘下ブランドの魅力は、献身的かつ情熱的なリーダーによって支えられている。ダミアン、フレデリック、ピエール・エマニュエルのビジョン、起業家精神、クリエイティビティー、そして卓越性へのコミットメントは、メゾンのダイナミックな発展に大いに貢献してくれるだろう。また、今回の人事は、当社のキャリアを形成する力を反映している」と語った。
ベルトラン新副CEOとアンジェログロウ新副CEOの経歴
ベルトラン新副CEOは、フランスの名門校HECビジネススクール(HEC Business School)を卒業し、LVMHが擁するゲラン(GUERLAIN)のオーストラリア事業のマーケティング・ディレクターとしてキャリアをスタート。その後、ロレアル(L'OREAL)で18年にわたってさまざまな要職を歴任し、2016年にクリスチャン ディオール クチュールに加わった。21年11月から現職。
アンジェログロウ新副CEOは、ロレアルに20年以上在籍し、「ロレアル パリ(L’OREAL PARIS)」のグローバル・ブランド・プレジデントを務めた後、19年にルイ・ヴィトンにファッション&レザーグッズ担当戦略ミッション・ディレクターとして入社。20年からメンズ部門を統括し、22年に戦略ミッション担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントに就任。24年3月にLVMHファッショングループのマネージング・ディレクターに就任し、同年5月からフェンディのCEOを兼任している。なお、同氏の後任はいずれの役職でも明らかにされていない。
アルノー新CEOと「ロロ・ピアーナ」について
アルノー新CEOは、父と同じくフランスのエリート養成機関であるグランゼコールの1つ、エコール ポリテクニーク(Ecole Polytechnique)を卒業し、17年にLVMH傘下のタグ・ホイヤー(TAG HEUER)に入社。18年9月に戦略・デジタル担当ディレクターに、20年6月には25歳でCEOに就任。24年1月から現職となり、「ウブロ(HUBLOT)」「タグ・ホイヤー」「ゼニス(ZENITH)」の3ブランドを統括してきた。後任は近日中に発表する予定。なお、新たな役職への就任後は、アルノー会長兼CEOの相談役も務めるアントニオ・ベローニ(Antonio Belloni)LVMHイタリア社長兼CEOの直属となる。
「ロロ・ピアーナ」は、1924年に北イタリアで創業。2013年にLVMHの傘下となり、アルノー会長兼CEOの長男であるアントワン・アルノー(Antoine Arnault)=ベルルッティCEO(当時。現LVMHヘッド・オブ・コミュニケーション&イメージ)が会長に就任した。同ブランドはいわゆるクリエイティブ・ディレクターを置いておらず、ランウエイでのショーも開催していないが、最高級のカシミヤブランドとして富裕層を中心に人気を博している。なお、LVMHはブランド別での業績を開示していないが、主要事業のファッション・レザーグッズ部門において、「ロロ・ピアーナ」は2大スターブランドの「ルイ・ヴィトン」と「ディオール(DIOR)」に次ぐ3番目の規模となるまでに成長したと見られており、市場関係者の推測によれば年商はおよそ25億ユーロ(約4025億円)。