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連載 小島健輔リポート

「ザラ」盤石の店舗効率の凄み それでも「ユニクロ」に勝ち目がある理由【小島健輔リポート】

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ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。「ザラ」などを運営するスペインのSPA企業・インディテックスは、売上高で世界一のアパレルチェーンである。このほど発表された2025年1月期決算を詳細に分析すると、その盤石の強さがよく理解できる。一方で、そのビジネスモデルゆえの限界も見えてくる。どこよりも深く解説しよう。

インディテックスの2025年1月期決算が開示されたが、成長率こそ鈍化したものの、デジタルマーケティングによる店舗網の再配置が進んで店舗効率と収益力は一段と高まった。ファーストリテイリングは猛追しているがまだ差は大きく、H&Mを突き放して独走体制を極めたように見えるが、ユーロモードの伝道師たるエクスクルーシブ政策の限界も垣間見える。

好調継続のインディテックスに猛追するファーストリテイリング

3月12日に開示されたインディテックスの25年1月期決算は、売上高が前期から7.5%増の386億3200万ユーロ(6兆3340億円※)と、コロナからの回復期にあった前々期の17.5%増、前期の10.4%増からは鈍化したが、コロナ前20年1月期を36.6%上回った。ファーストリテイリングの24年8月期売上高が3兆1038億円と19年8月期を35.5%上回ったのとは大差ないが、H&Mの24年11月期売上高が2344億7800万SEK(3兆3530億円※)と19年11月期をようやく0.8%上回ったにとどまるのとは雲泥の差がある。

営業利益は75億5400万ユーロ(1兆2390億円)と前期から10.9%増加して19年8月期を58.3%上回り、営業利益率は19.6%と前期から0.7ポイント上昇して19年8月期を2.7ポイント上回った。ファーストリテイリングの24年8月期営業利益が5009億円と19年8月期を94.4%上回ったのには及ばないが、営業利益の絶対額はファーストリテイリングの2.47倍と差は大きく、営業利益率も3.5ポイント上回る。H&Mの24年11月期営業利益は173億0600万SEK(2475億円)と19年11月期の99.8%にとどまり、営業利益率も7.4%と19年11月期の7.5%にわずかながら及ばずと格差が大きい。

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