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「フォーエバー21」が2度目の破産申請を準備か 米国の運営会社が700人を解雇の見込み

米ファストファッションチェーン「フォーエバー21(FOREVER 21)」の米国における運営会社フォーエバー21 オプコ(FOREVER 21 OPCO)が、破産申請の準備をしているようだ。

同社は2月下旬、労働者調整・再訓練通知法(Worker Adjustment and Retraining Notification)の適用をカリフォルニアおよびペンシルバニア州で申請したことが明らかに。これは100人以上の労働者を抱える雇用主が工場閉鎖や大量解雇を行う際、その60日前に従業員に通告することを義務付けている法律のため、同社は両州で700人程度の人員整理を実施すると見られている。情報筋によれば、同社は本社での解雇や100〜200店の閉鎖を行い、残った店舗の買い手を探す予定だが、清算も視野に入れているという。

なお、同社は米国内における「フォーエバー21」の運営を行っているため、いずれにしても他国での事業や店舗、また米ブランド管理会社オーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP以下、ABG)が保有する同ブランドのIP(知的財産)への影響はない。

「フォーエバー21」の歴史

「フォーエバー21」は、1984年に米ロサンゼルスで創業。ショッピングモールに大量に出店し、ファストファッションチェーンとして急成長したものの、ECの台頭やサステナビリティ意識の高まりなどを受け、2015年頃をピークに徐々に失速した。19年9月、日本の民事再生法に当たる連邦破産法11条の適用を申請。競争入札の結果、20年2月にABGと、家主である米不動産投資信託会社のサイモン・プロパティー・グループ(SIMON PROPERTY GROUP以下、サイモン)および同ブルックフィールド・プロパティー・パートナーズ(BROOKFIELD PROPERTY PARTNERS以下、ブルックフィールド)の3社連合が8110万ドル(約119億円)で落札した。米国における「フォーエバー21」事業は、ABGとサイモンが設立した合弁会社スパーク・グループ(SPARC GROUP以下、スパーク)が行っており、買収当時の米国内の店舗数は448店。現在は360店程度と見られている。

スパークの新会社に「フォーエバー21」は含まれず

23年8月には、グローバルSPAブランド「シーイン(SHEIN)」がスパークの株式のおよそ3分の1を取得し、スパークも「シーイン」の少数株主に。同年10月、ABGと「シーイン」は「フォーエバー21」のライフスタイルおよびファッション領域において長期的なパートナーシップ契約を締結。25年1月には、スパークと米百貨店J.C.ペニー(J.C. PENNEY)が新会社カタリスト・ブランズ(CATALYST BRANDS)を設立した。なお、J.C.ペニーは20年5月に経営破綻したが、同年9月にサイモンとブルックフィールドが買収している。

カタリスト・ブランズは、スパーク傘下の「エアロポステール(AEROPOSTALE)」「ノーティカ(NAUTICA)」「ブルックス ブラザーズ(BROOKS BROTHERS)」「エディー・バウアー(EDDIE BAUER)」「ラッキー ブランド(LUCKY BRAND)」、そしてJ.C.ペニー(J.C. PENNEY)を擁するが、「フォーエバー21」は含まれていない。同社は、業績低迷が続く「フォーエバー21」について「戦略的な代替案を検討中だ」としていた。

買い手が見つからなければ清算か

情報筋によれば、同社は「フォーエバー21」を今後は主にオンラインで展開することを想定し、米国での運営権をECに強いパートナーに譲渡することを検討しているが、売り上げの高い100店程度を残す道も模索しているという。しかし、条件の合う買い手が期日までに見つからない場合には、米国事業の清算手続きに入る可能性が高いと見られている。

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