「WWDJAPAN」はこのほど、2025-26年秋冬メンズトレンドセミナーを開催した。ミラノ&パリ・メンズ・ファッション・ウイークでの現地取材を通して見えてきた潮流を、キーワードと共に解説。セッションは2部構成で、1部ではパリでコレクションを発表してきたデザイナーを、2部では現地でのバイイングを通じて、各ブランドのコレクションを小売り視点で分析する百貨店バイヤーを招き、次シーズンのトレンドを多角的な視点で分析した。
視聴期限:2026年3月6日(水)23:59 まで
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洗練とリラックス感を両立する
リアリティーのある着こなし
第1部の前半では、「WWDJAPAN」メンズ担当の大塚千践副編集長に加え、ベルリン在住の藪野淳欧州通信員がオンラインで参加し、25-26年秋冬メンズのトレンドを総括した。ミラノとパリのメンズコレクションを特集した「WWDJAPAN」(3月3日発売)の紙面を参照し、4つの代表的スタイルを紹介。特に注目のスタイルとして、洗練された日常のワードローブ“エレベーテッド・デイウエア(Elevated Daywear)” と、冒険心を呼び覚ますアウトドアミックス“イントゥ・ザ・ワイルド(Into the Wild)”の2つを挙げた。それぞれの代表的なブランドのショーを解説しながら、トレンドが生まれた背景についても言及した。大塚副編集長は今季のトレンドについて「トレンドが明確に切り替わることが少ないメンズウエアだが、日常着を基本にした気の利いた着こなしのバリエーションが増えている」と分析した。
さらに、第1部の後半では、パリでコレクションを発表したばかりの「ダブレット」井野将之デザイナーが登壇。「パリで一番になりたい」という強い思いでショーに臨んだという井野デザイナーは、“悪役”をテーマにした今季のコレクションを振り返った。ファイバークレーズが開発した繊維素材“クレーズ・テックス”との出合いがコレクション制作に大きく影響したこと、NHK朝の連続テレビ小説「おむすび」で松平健が演じた主人公の祖父・米田永吉のセリフから受けたインスピレーション、さまざまな企業やブランドとの協業など、デザイナー本人だからこそ語られる貴重なエピソードに、聴講者たちは熱心に耳を傾けた。
売り場視点でのトレンド分析
カギになる素材は“レザー”
第2部には、伊勢丹新宿本店メンズ館の椋田暁バイヤーも登場。ランウエイでも「リアルな」着こなしが主流になっているとは言え、コレクションで目を引くものと実際に売れるものとの間には、少なからず開きがあるもの。このセッションでは、記者と百貨店バイヤーという異なる立場でウエアから素材、色柄、ディテール、バッグ&シューズに至るまで、より詳細にトレンドを分析。売り場で実際に動きそうなものを共に語り合った。
「WWDJAPAN」の2人と椋田バイヤーは、今季のカギになる素材に“レザー”を挙げるなど、両者が注目したトレンドは重なる部分も多かった。また、近年の暖冬で何を売るかという話題では「暖冬化する東京で、ヨーロッパのトレンドをいかに落とし込むか」というテーマに及んだ。「オーバーサイズのコートや、ファーやムートンを用いたアイテム、ダウンや中綿が入ったジャケットなどのボリューミーなアウターが目立ったが、日本でどこまで受け入れられるかは未知数」とした薮野通信員に対して「24-25年秋冬シーズンは短丈のアウターが売れ、ヘビーなコートの売り上げと大きく差がついた。しかし、ライトアウターのトレンドが続いたので、そろそろボリューミーなアウターを着たいと考えるお客さまは増えてくるはず。積極的に提案していきたい」と椋田バイヤーは答えた。 “売り手”の視点で語られるトレンド展望や、顧客への具体的な提案テクニックなど、実利性が高く示唆に富んだ椋田バイヤーのプレゼンテーションが、聴講者を引き付けた。
セミナー終了後は、登壇者とセミナー聴講者によるミートアップを実施。参加者と登壇者がドリンクを片手に、活発に意見交換をしたり、セッションには収まりきれなかった井野デザイナーのパリコレこぼれ話に耳を傾けたりした。