ファッション

“トレンドが見えにくい”時代の心強い羅針盤! 「WWDJAPAN」が2025-26年秋冬コレクションを徹底解説

「WWDJAPAN」は4月22日、2025-26年秋冬トレンドセミナーを開催した。セッションは二部構成となっており、第一部ではデザイナーの交代劇が続くパリとミラノ、不安定な社会情勢の影響が強く見られたロンドンとニューヨークなど、ファッション・ウイークの現地取材を通してつかんだ海外ランウエイの最旬トレンドを分析。第二部では、それを国内のリアルマーケットで実際の商品企画やスタイリングに生かすためのコツを、現場で活躍するプロ目線で解説した。


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【第一部】
コレクションサーキットのトレンドを解説

第一部は、柴田麻衣子リステア クリエイティブ・ディレクターをゲストスピーカーに迎えたほか、ベルリン在住の藪野淳「WWDJAPAN」欧州通信員がオンラインで参加した。村上要編集長とともに、装飾主義のカムバックなど2025年春夏シーズンの動向を振り返りつつ、それがいかに25-26年秋冬のトレンドにつながっているのか、という大きな流れについての解説でスタート。

一大潮流になるかと思われた装飾主義が海外市場では意外にも大きく広がらず、不穏な時代の中で“優しく寄り添う”、もしくは“立ち向かうべくエンパワーする”という2つの流れが生まれたことを、「サカイ(SACAI)」や「エルメス(HERMES)」などのコレクションを示しつつ説明。一方、国内市場では、日々のコーディネートに使いやすい“映えトップス”やバッグなどで装飾性をうまく取り入れたことが奏功し、実需を掘り起こした事例などを紹介した。

また、東京デザイナーの躍進についても言及。その理由として、海外ラグジュアリーブランドで相次ぐデザイナー交代に伴う疲弊感や急激な価格上昇などの外的要因のほか、国内ブランドの“大人化”という内的要因もあるという指摘が興味深い。

その後は、「コージー&テンダー(優しく包み込むことで生み出す安らぎ)」「コーポレート・シック(パワフルなオフィスルック)」「ノスタルジック・ロマンス(過去を見つめ直して描くロマンチック)」などの7つのキーワードを軸に、今季のトレンドを丁寧に分析。「WWDJAPAN」の本橋涼介ヘッドリポーターや木村和花記者も加わり、各キーワードを代表するブランドのランウエイ動画を鑑賞しながらの、多角的な解説が続く。

例えば「コージー&テンダー」であれば、“優しく包み込む”ためのスカーフやショール、首を守るタートルネックのニット、すっぽりとくるまれるようなブランケットコートといったマストアイテムはもちろん、ファーやシアリング、カシミヤなど安心感やぬくもりを与える着心地のいい素材についての話や、テーラードに大判ストールを巻くことでスタイリングを新鮮にアップデートする方法など、具体的な提案がぽんぽん飛び出す。暖冬の日本で首元に何かを巻くのはつらいのではないか、という疑問には、シフォン素材がメインのファーをあしらったショールを使う、シューズやバッグでファー素材を取り入れるなどの実用的な解決法が提示された。すぐにでも売り場で活用できそうなアイデアの数々に、熱心にメモを取る参加者の姿が印象的だ。

【第二部】
国内市場のリアルクローズを展望

第二部には、浅子智美UA本部ウィメンズ商品部 ユナイテッドアローズ ブランドディレクターと、橋本航平 伊勢丹新宿本店本館3階「リ・スタイル」バイヤーが登場。第一部で紹介したランウエイの潮流や注目トレンドを、どうリアルクローズに落とし込むのかについて、第一線で活躍するプロの目線で詳細に解説した。

浅子ブランドディレクターは、温暖化が進む日本の秋冬シーズンは「長い秋」と「短期決戦の冬」に分けられると指摘。24-25年秋冬には、気温に対応しつつ秋の気分を楽しめるベストや羽織感覚で使えるジャケットなどが好評だったことから、それらを今季らしくアップデートしていくという。一方で、長い秋の後にいざ冬が到来したら、用意していたアウターの数が足りなかったことを踏まえ、寒くなってからの短期決戦に備えてオリジナル商品と仕入れの両方を強化する予定だと話した。また、冬の到来が遅くなる中でも顧客が「絶対に買いたい!」と感じる定番商品をどう開発し、アップデートしていくかについて具体例を交えて紹介。これは手の内を見せるかのような、貴重な内容といえるだろう。

橋本バイヤーは、「ディスプレジャー(ちょっとした不快感、イライラをエネルギーに変えて)」「エッセンス(本質を見極め独自の価値を高めるエネルギー)」「ドラマチック(ノスタルジックな感性に触れ、感情のままに放つエネルギー)」というテーマでトレンドを分析。買い付けの裏にある哲学とともに、テーマをさらにいくつかに分類しつつ、いかにリアルクローズに落とし込むかを伝授した。例えば「ドラマチック」の中の“タイムレス・エレガンス”では、まず“タイムレス”を古い壁紙などに感じる懐かしさ、“エレガンス”はクラシカルな淑女のようなルックと実現しやすいワードに分解。壁紙調の柄のワンピースやスカートでレディーライクな雰囲気を表現しつつ、セピア色を思わせる赤みのあるブラウンのトップスなどでいっそうノスタルジックな空気をまとわせ、黒のベルトやブーツなどでモダンに仕上げるという、今季らしいスタイルにするためのコツを惜しみなく披露した。

その後は、参加者からの質問に答える時間を挟み、「WWDJAPAN」の注目アイテムについて本橋ヘッドリポーターが紹介していく。アウターウエア、トップス、スカート&ドレス、パンツといったアイテム別のほかに、素材やパターン別、そしてパワーショルダー、フリル、ラップデザインなどのディテール別にまとめ、それぞれ売れているものは何か、日本ではどのようなスタイルで着こなせるかなどを、浅子ブランドディレクターと橋本バイヤーとともにディスカッション。続く質疑応答タイムでは、今季のアクセサリーで気になるものや、実際に売り場で人気を博しているアイテムについて披露して会場の関心を引き付けた。

セミナーの終了後は、恒例のミートアップを実施。登壇者とセミナーの参加者が、ドリンクを片手に和やかに歓談した。

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