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「フォーエバー21」と組むアダストリアの思惑 ライセンス事業強化に向けノウハウ蓄積

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 「フォーエバー21(FOREVER 21)」が、アダストリアとのタッグで2023年春に再上陸する。同ブランドは19年の日本市場撤退、経営破綻後、ブランド管理会社の米オーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP以下、ABG)傘下にある。「失敗したブランドをなぜ再び?」。そんな声が聞こえてきそうだが、アダストリアには「フォーエバー21」自体で稼ぐこと以外の思惑がある。それは、今後ライセンス事業を強化していくためのノウハウの蓄積だ。

 アダストリアは22年5月に、ライセンス事業のための100%子会社Gate Winを立ち上げており、同社が「フォーエバー21」の運営を担う。「『フォーエバー21』の日本での販売についてABGとマスターライセンス契約を結んでいる伊藤忠から最初に話がきたのが、約2年前。一度は日本から撤退したブランドだが、それを今アダストリアがリブランディングしたら面白いなと思った。当社の強みは失敗してからのブランド修正力。それが生かせる」と木村治アダストリア社長は話す。Gate Winはアダストリアで長らく生産分野などを担当してきた杉田篤氏が社長を務め、R&Dや営業担当の幹部が取締役として脇を固める。クリエイティブ担当として、競合大手SPAから野田源太郎氏も今春アダストリアに入社した。

 契約締結にあたりアダストリアが譲らなかったのが、企画・生産を自分たちで行い、ブランドをローカライズすること。「当社がイニシアチブを取って企画・生産することが契約の大前提」(木村社長)とし、その交渉のために1年を費やしたという。かつての失速原因を「まず商品自体がよくなかった。売り場の陳列は荒れていて、いつもセールをしている印象。商品もオペレーションも、全くローカライズがされていなかった」と分析するからこそ、譲らなかった。

 交渉を通し、商品の8割はアダストリアが企画・生産し、残りは雑貨などを米国から仕入れる形で決着。米本国から日本企画に対する承認(アプルーバル)も「2営業日以内に戻す契約となり、国内ブランドのスピード感と変わらず運営ができる」と強調する。

平均単価は4000円
ファストファッションイメージは払拭

 かつての「フォーエバー21」と言えば、数百円で購入できる激安商品と、原宿や銀座といった都心一等地に3000平方メートル級の旗艦店を出していたイメージが強い。この2点についてもアップデートする。

 まず価格だが、平均一点単価は4000円となり、平均客単価は5000円台半ばを想定。もはや“トレンドが安く買えるファストファッション”ではない。「当社は生産機能も有しており、価格に対し価値の高い商品を作ることができるという自負がある」(木村社長)。一方で、「もっと安いブランドはあるが、本当に信頼される商品はこの価格でしか作れない」。この価格設定は、もちろん円安や原料高も影響しているが、同時に「(インフレや)ABGによるテコ入れもあって、今は米本国もこれぐらいの価格になっている」という。

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