ビューティ

「マックス アンド コー」初のフレグランスが9月に登場 アジアや中東へも展開予定

マックス アンド コー(MAX&CO.)」はフレグランス事業を始動し、9月に3種のフレグランスを発売する。同ブランドとして初となるフレグランスの製造と流通については、イタリアのフレグランスメーカー、マヴィヴ(MAVIVE)と2024年にライセンス契約を締結。フレグランスの発売を通し、来年の40周年に向けて勢いを加速させる。

3種のオードパルファンはミレニアル世代とZ世代を意識し、“シー イズ ア 10(She Is a 10)”“モーニング キャン ウェイト(Morning Can Wait)”“グッド ヴァイブス ドント ライ(Good Vibes Don’t Lie)”というキャッチーな名前を付けた。それぞれ、「彼女は10点満点(完璧)」「夜の余韻を楽しむ」「心地良さや直感を信じて前向きに生きる」といった意味合いを持つ表現だ。

マルコ・ヴィダル(Marco Vidal)=マヴィヴ最高経営責任者(CEO)は、「『マックス アンド コー』の女性像は一つではなく、多様な個性が共存する。その姿を香りでも表現した」と語る。「だからこそ3つの瞬間を切り取り、それぞれに異なる名前、色、調香師を設定した。消費者により幅広い選択肢を提供すると同時に、香水店の棚でより大きな存在感を発揮する狙いがある」。

独自プラットフォームを活用し感情に訴える調香

今回のフレグランスは、フランスの香料メーカーであるマン(MANE)と共同開発した。マン独自の「ウェルモーション プラットフォーム」を活用し、香りを使用した際に特定の感情を呼び起こす処方を実現した。

“シー イズ ア 10”はヴィオレーヌ・コラス(Violaine Collas)が手掛けたフルーティフローラルの香りで、イタリア産ベルガモットとオレンジのエッセンシャルオイルに、ストロベリーエキスやジャスミンなどをブレンドした。“モーニング キャン ウェイト”は、ジェローム・ディ・マリーノ(Jerome Di Marino)が調香。シトラスのトップノートから始まり、サンバックジャスミンやカカオの濃縮エッセンス、シダーウッドへと展開する。“グッド ヴァイブス ドント ライ”は、ヴェロニク・ナイバーグ(Veronique Nyberg)がベルガモットやスミレの葉、プルメリア、オスマンサス、トンカ豆、さらにレッド・チャンパカを組み合わせて仕上げた。

製品名は、ミラノを拠点に活動するアーティストのピエトロ・テルツィーニ(Pietro Terzini)が担当した。同氏はSNSでの人気を背景にファッションやラグジュアリー業界で複数のコラボレーションを実現しており、「マックス アンド コー」とは過去に2度“アンド コラボレーション(&Co.llaboration)”プロジェクトで協業。2月の25-26年秋冬ミラノ・ファッション・ウイークでもカプセルコレクションを発表した。

ボトルは直線と曲線を組み合わせたデザインで、3色のカラーガラスを採用。印象的な赤いラベルを配した。50mL(48ユーロ=約8200円)と100mL(70ユーロ=約1万2000円)の2サイズで展開する。

「高品質×手に届く価格」で差別化

「町の専門店で取り扱われるような、ライセンス契約で作られた中価格帯のフレグランスは苦戦しており、より高級でニッチな方向へとシフトしている」とヴィダルCEOは分析。「そんな中で『マックス アンド コー』らしく、品質と手に取りやすい価格を両立させ、感情に訴えるフレグランスを開発した」と説明する。

9月からヨーロッパの「マックス アンド コー」15店舗とECで販売を開始。さらにドイツ最大の化粧品専門店チェーン、ダグラス(DOUGLAS)と組み、イタリア国内の350店舗で展開する。「イタリアは香水市場が非常に細分化されている。最大シェアを持つダグラスと組むことで、イメージやコミュニケーション、サービスを一貫して提供できる」とヴィダルCEOは語る。

ヨーロッパからアジアへ 中国・韓国・日本も視野に

ヨーロッパ各国でも順次取り扱う予定で、市場ごとに戦略を変える。アメリカでの発売は関税問題により延期となったが、アジアでの展開は進行中だ。特に中国、韓国、日本を重視している一方で、今年初めにシンガポールで開かれたTFWAアジア太平洋見本市での好反応を受け、シンガポールでも発売を予定する。

業界筋によると、初年度の小売売上高は3000万ユーロ(約51億円)を見込む。イタリアのほか、スペインやドイツ、オーストリア、スイス、中東を重点市場とし、年内に中東での発売も視野に入れている。

マヴィヴの成長戦略

マヴィヴは92カ国以上に流通網を持ち、23年度の売上高は前期比15%増、24年度は同4%増の4300万ユーロ(約73億円)と堅調に推移。新規契約や製品の投入で成長を維持しており、来年には「マックス アンド コー」から4つ目のフレグランスを発売予定だ。

同社は「フルラ(FURLA)」や「エルマンノ シェルヴィーノ(ERMANNO SCERVINO)」などのライセンスを保有し、クリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)の「CR7」などのイタリアでの流通も担う。直近では、23年にライセンス契約を締結したドイツの自動車メーカーBMW初のフレグランスを発売。年内には、シルクのドレス“デルフォス”で知られる伝説的なファッションデザイナーのマリアノ・フォルチュニ(Mariano Fortuny)のレガシーを継承するベネチアの会社フォルチュニ(FORTUNY)と協業した高級フレグランスを投入予定だ。

ポートフォリオのさらなる拡大についてヴィダルCEOに尋ねると、「むしろ今は拡大すべきではない」と即答。「既存のプロジェクトを成功に導くことが優先。香水市場は昨年から大きく変わり、成長が鈍化している。関税や戦争など、不安定要因が多く、今は慎重かつ柔軟に対応することが求められる」と述べた。

本文中の円換算レート:1ユーロ=約172円

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