ハートと“A”を組み合わせたロゴマーク“アミ ドゥ クール”をシンボルに、グローバルでファンを拡大し続ける「アミ パリス(AMI PARIS)」。東京・表参道でもこの11月末から、2回目となるカフェ併設型ポップアップをスタートし、連日反響を呼んでいる。前回の好評を受け、今回は1年間の長期開催だ。ポップアップを通じて届けたいメッセージや今後のビジネスの方向性について、ニコラス・サンティ・ウェイルCEOに聞いた。
WWD:今回の表参道ポップアップで届けたいメッセージや世界観について、改めて教えてほしい。
ニコラス・サンティ・ウェイル=「アミ パリス」CEO(以下、サンティ・ウェイル):昨年に続き、日本の顧客に向けて「アミ パリス」ならではの体験を届けたいと考えた。典型的なフレンチカフェ「ル カフェ アミ」とポップアップストアを融合させ、最新コレクションとホリデーカプセルを紹介している。前回は当初の予定を2カ月から4カ月に延長するほど大きな反響があった。今年は長期間の開催となるため、季節ごとにファサードやメニューを刷新し、常に新しい表情を見せていくつもりだ。
WWD:日本でのビジネスはここ数年で規模を急拡大してきたが、成長は続いているか。
サンティ・ウェイル:現在も安定した成長を続けており、日本は「アミ パリス」にとって最大のリテールマーケットとなった。今後も国内各地で新店舗やポップアップの展開を予定している。特に好調なのはウィメンズウエアとアクセサリーだ。バッグやレザーグッズは著しい成長を見せている。
WWD:ポップアップは、ブランドのコミュニティー戦略とどう接続しているのか。
サンティ・ウェイル:ポップアップは、「アミ パリス」の世界観や価値観を体感できる“入り口”のような存在だ。フレンドシップ、オーセンティシティー(本物であること)、そして日常に寄り添う服やアクセサリーといった、ブランドのコアバリューを共有する場でもある。同時に、パリのライフスタイルやサヴォアフェール(匠の技)を世界中に伝える重要なコミュニケーション手段だと捉えている。
WWD:グローバルでのビジネスの状況は?
サンティ・ウェイル:グローバルでも着実に成長しており、近年ではベルギーのブリュッセル、カナダのトロントに初の直営店をオープンした。現在、実店舗およびオンラインを含むDTC(直販)事業が売り上げの約3分の2を占めている。これにより、ブランドの成長戦略をより主体的にコントロールできる体制が整った。一方でホールセールに関しては、ブランドのポジショニングを尊重しない取引先との関係を見直し、「アミ パリス」のウィメンズウエアの可能性に共感するパートナーとの協業を強化している。
WWD:ブランドが世界的に支持されている理由について、改めてどう考えるか。
サンティ・ウェイル:最も大切にしているのは、服そのもののクオリティーだ。長く愛用でき、次世代へ受け継ぐこともできる丁寧な服作りをしている。その一方で、価格は常に適正であることを意識している。多くのラグジュアリーブランドが価格を大幅に引き上げる中で、品質と価格のバランスが取れている点は、今の時代において一層の価値を持っているはずだ。また、ポジティブなメッセージの発信やオリジナリティーあふれる体験を通じて、人々の気持ちを前向きにすることを目指している。「アミ パリス」の服をまとうことで、喜びや幸福感、エレガンスを感じてもらえるなら、それ以上に誇らしいことはない。
WWD:今年2月にオープンしたパリ・マレ地区の新旗艦店は大規模だが、今後も主要都市に旗艦店を構えていく?日本での計画は?
サンティ・ウェイル:マレ地区の新旗艦店は、現在の「アミ パリス」を象徴する存在だ。メンズ、ウィメンズ、アクセサリーまでを網羅するブランドの全体像を表現するために不可欠なロケーションだった。その成功を受け、今後はブリュッセルに続き、世界の主要都市での旗艦店展開も検討している。もちろん、日本についても候補地の検討を進めているところだ。
WWD:新規層への入り口としてのロゴアイテムと、ブランドの深みを伝えるコレクションアイテム。どのようにバランスを取っているのか。
サンティ・ウェイル:若い世代は、まず視認性の高いロゴアイテムを通じてブランドと出合うことが多い。ロゴは「アミ パリス」の価値観を象徴し、コミュニティーへの帰属意識を示すものだ。その後、ブランドとともに成熟するにつれて、より深い魅力を持つコレクションピースへと関心が広がっていく。素材やクラフトマンシップへの感度が高い日本の顧客は、こうしたコレクションの価値を的確に理解してくれている。
WWD:現在特に伸びている、あるいは伸ばしたいカテゴリーは?
サンティ・ウェイル:日本ではウィメンズウエアとアクセサリーが引き続き高い成長を遂げている。特にレザーバッグは、今後の成長をけん引する重要カテゴリーだ。ウィメンズは比較的新しい取り組みだが、その分大きな可能性を秘めており、今後も重点的に強化していく。
WWD:デビュー以来、急速なスピードで成長してきた。これから「変えないこと」と「変えること」は何か。
サンティ・ウェイル:創設以来、私たちが最も大切にしてきたのは「エンゲージメント」「クリエイティビティ」「自信」「オプティミズム(楽観主義)」という4つの価値観だ。これらはすべての活動の基盤であり、決して変えることはない。常にビジネスとクリエイションの最適なバランスを追求し、対話を重ねながら意思決定を行っている。
一方で、成長を支えるための変化も必要だ。現在はサプライチェーンの再構築や新たなセントラルウェアハウス(データの中央集中システム)への移行を進めるとともに、業務効率とデータ管理を強化するための新たなツールやソフトウェアへの投資も積極的に行っている。
アミ パリス ジャパン
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