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“メード・イン・イタリー”をも揺るがす事態!? サプライチェーンに潜むリスクとは

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ここ2年、ラグジュアリーブランドのサプライチェーンにおける違法な労働慣行や人権侵害が相次いで発覚した。その多くが、レザーやカシミヤなど高級な素材を扱う生産工場が集積するイタリアで起きており、同国が誇る“メード・イン・イタリー”の看板を揺るがしかねない事態となっている。ラグジュアリーブランドでは原料の高騰などを背景に値上げが続いているが、サステナビリティに関する社会的な意識の高まりもあり、ブランドに対する消費者の視線が厳しさを増していることを考えると、製造工程の透明性を高めることは緊喫の課題だ。ここでは、問題が発覚したブランドの事例や専門家の分析、製造工程に関する欧州連合(EU)の法規制などについてまとめた。(この記事は「WWDJAPAN」2025年9月1日号からの抜粋です)

ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」の製造を担うジョルジオ アルマーニ オペレーションズ(GIORGIO ARMANI OPERATIONS)は2024年4月、サプライチェーンの下請け業者が労働者を最低賃金以下で雇用して、劣悪な労働条件で働かせていたとして関係当局の調査を受け、ミラノの裁判所により司法の管理下に置かれた。また同年6月には、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)が擁するクリスチャン ディオール クチュール(CHRISTIAN DIOR COUTURE)のイタリアの子会社で、「ディオール(DIOR)」のバッグなどを生産するマニュファクチャラーズ ディオール(MANUFACTURERS DIOR)のサプライヤーが契約していた中国系の下請け企業が、やはり最低賃金以下で工員を雇用していたことが明らかに。同子会社も関係当局の調査を受け、司法管理下に置かれることとなった。

いずれのケースでもブランド側は調査に全面的に協力し、是正措置と予防策を迅速に講じたことが評価され、前者は25年2月に、後者は3月に管理措置が解除された。しかし、5月には「ヴァレンティノ(VALENTINO)」のバッグ製造を手掛ける部門の下請け業者による労働者への虐待が発覚し、司法管理下に。7月には、LVMHが擁するイタリアのラグジュアリーブランド「ロロ・ピアーナ(LORO PIANA)」が、サプライチェーンにおける労働搾取の疑いを受け、司法管理の対象となった。同ブランドによれば、サプライヤーが契約上の義務に違反し、一部の下請け業者の存在を報告していなかったことから生じたトラブルだという。

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