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秋冬コレクションの入荷遅れ 「シャネル」や「ヴェルサーチェ」などの対応策は?

 新型コロナウイルスの影響によってアパレルの縫製工場やサプライヤーが休業しているため、2020年プレ・フォールおよび20-21年秋冬コレクションの生産が遅れている。世界のラグジュアリーブランドがどのように対応しているのか、いくつかの事例を紹介する。

ブルーノ・パブロフスキー(Bruno Pavlovsky)=シャネル(CHANEL)ファッション部門プレジデント

 短期的な対応としては、マーチャンダイジングや店頭でコレクションを発売するスケジュールを見直した。20年春夏コレクションを通常よりも長く店頭に置き、例年は5月に入荷するメティエダール・コレクションを7月初旬とすることにした。また2月初旬に「シャネル」ブティックのバイヤー向けに発表した20年プレ・フォールおよび20-21年秋冬コレクションは、7月中旬から9月にかけて入荷される。

ドナテラ・ヴェルサーチェ(Donatella Versace)「ヴェルサーチェ」クリエイティブ・ディレクター

 コレクションの生産には何カ月もかかる。いつごろ事態が収束するか分からないので、正確なスケジュールは答えられないが、20-21年秋冬コレクションを実際に秋になってから発売してもいいと思う。プレ・スプリング・コレクションの発表を延期せざるを得なかったが、関係者の安全を考えれば、それは小さな代償だ。現段階では、長期的にどのような影響があるかについて述べるのは時期尚早だろう。

グラム・ヴァザリア (Guram Gvasalia)「ヴェトモン(VETEMENTS)」共同創業者兼最高経営責任者(CEO)

 インターネット上で、「もう20-21年秋冬コレクションの生産は中止して、9月に発表するコレクションの制作に取り掛かるべきだ」というような記事を見かけるが、とてもショックを受けるしうんざりする。サステナビリティについて延々と宣伝しているようなメディアにそうしたことが書かれていると、特に気がかりだ。サステナビリティについて真剣に取り組んでいるブランドこそ、発表したばかりのコレクションを生産する前に、新たなコレクションの制作に着手するべきではない。時間、資金、リソース、才能の大いなる無駄遣いになってしまうからだ。これは、ファッション業界が説いてきたサステナビリティや環境保護という考え方と真っ向からぶつかるものだと思う。

シルヴィオ・カンパラ(Silvio Campara)=ゴールデン グース(GOLDEN GOOSE)CEO

 20-21年秋冬メインコレクションの生産をスキップする。もし商品を生産すれば、工場に値下げを頼まざるを得ないし、納品は遅れるだろう。これは責任をどう持つかの問題だ。ニュースレターを送るだけでは十分ではないので、クライアントには個別に連絡するが、全員を満足させられるソリューションなどない。しかしスキップすることによって、支払いの遅延やオーダーのキャンセルという事態はなくなる。売り上げに大きく響くことは分かっているけれど、値下げはしない。店の営業を再開するときには、ブランドにとって“正しい形”であることが重要だ。今季はもう捨てて、2021年春夏コレクションですっきりと再スタートする。

マッシモ・ジョルジェッティ(Massimo Giorgetti)「MSGM」創業者兼クリエイティブ・ディレクター

 生産工場やサプライヤーがまだ休業しているので、20年プレ・フォールおよび20-21年秋冬コレクションは納品が遅れると予想される。通常であれば6月から9月初旬にかけて店頭に並ぶものだが、今年は9月下旬から10月の入荷となるだろう。秋冬コレクションなのだから、実際に秋になってから発売してもいいと思う。今後はまた以前のように、その季節に合った商品が並ぶようになるのではないか。それに伴って、セールの時期も見直す必要があるだろう。