AI、特に人間のようなAIエージェントは、メディア業界や世の中をどう変えるのか?そのヒントをつかむべく、生成AIのプラットフォーマー、AIを活用しながらコンテンツやブランドを生み出すクリエイター、そして、先行してAIと向き合うイベントを開催するメディアに話を聞いた。最終的にはいずれも人間、HIとの価値を説いているのが興味深い。(この記事は「WWDJAPAN」2025年11月24日号からの抜粋です)
AIによって
メディアビジネスはどうなる?
昨年に続き、9月にAIに関するイベントを開催した。今、AIとの付き合い方は大別して二つ。一つ目は、ツールと捉えて生産性や効率を高める使い方。そしてもう一つは、AIエージェントに代表されるよう、他者の違う感性としての向き合い方だ。ビジネスの現場では現段階では前者の使い方が多いと思うが、イベントでは多くの専門家が一貫してAライフ(「Artificial Life」の意味)、「人工生命」的にAIを捉えていたのが印象的だった。AIをただ「頭がいい存在」として生産性向上のために導入するのではなく、「いかに新しい他者を受け入れるか?」の視点で捉えた方が、想像力が爆発するなどのポテンシャルが高いという。
そもそも、それぞれの企業とのタイアップのセッションで、いずれも企業側の登壇者が「アーティストをアサインしたい」と提案したことも面白かった。マサチューセッツ工科大学が8月に公表したNANDAプロジェクト(企業300社のAI導入事例を検証して、150人の経営幹部にインタビューした)の集計によると、「AI投資から十分なリターンを得ている企業はわずか5%にすぎず、95%は失敗に終わっている」という。きっと今ビジネスの現場でAIを推進している登壇者の皆さんも、もう少しブレイクスルーしたいのではないか?彼らは、「AIは、DXやITのように利益が出ればオッケー」というものではなさそうな気がしている。だからブレイクスルーするなら、人間の力が必要と考えているのではないか?今の段階では、アーティスティックな思考のようなものが必要なんだと考えている様子が見てとれた。
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