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SNS世代へのアンケート、大人の期待と違って面白い ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.10 『変化するファッション観、SNS世代1600人の本音』

読み解きポイント:「好きなブランドがファストファッション。それは絶望か希望か。」

ニュースのポイント

 インターネットやSNSの普及により情報の発信や受け取り方が激変し、若年層のファッションに対する意識が劇的に変化している。10〜20代前半のSNS世代は手の届かないカリスマへの憧れよりも、友人感覚で親しめるインフルエンサーに共感している。SNS世代のファッション系専門学校生1600人にアンケートを実施したところ、好きなデザイナーからよく利用するショップ、インフルエンサー、転売、サステナビリティまであらゆる分野に興味関心を示す答えが返ってきた。

Azuはこう読む!

 この手のアンケート、いつも大人が期待する結果と全く異なっているので、見ていて面白く、大好きです。「好きなファッションデザイナーは?」の答えは山本耀司、川久保玲、アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)、阿部千登勢など、だいたい知名度に応じた結果になるのですが、「好きなブランドは?」の答えは時代を表しているから必見です。本紙では7年前の結果と比較しているので、いかに学生が興味を示す/実際に買っているブランドが変化したのかがわかりますよ。

 今年の結果は、1位「ザラ(ZARA)」、2位「ジーユー(GU)」、3位「ユニクロ(UNIQLO)」、4位「H&M」/「ベルシュカ(BERSHKA)」、5位「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」というラインナップ。これだけ見ると「ファッション業界を志している学生がファストファッション推しなんて……」とがっくりしてしまう大人が多そうですが、これは果たして絶望なのでしょうか?

 現役の専門学校生と触れ合っているわけではないので実際の温度感はわかりませんが、好きなブランド≒よく買うブランドと考えたら納得です。だってただでさえ学生だからそんなにお金がない上に課題への出費が多いとなると、下手したら一般の大学生よりも洋服にかけられるお金が少ないのでは?と思います。

 で、この結果にがっくりきている大人は「ファッション業界はラグジュアリーコレクション/ブランドがヒエラルキーのトップにあり、ブランドの価値は価格によって決まる」と思っているのかな?と毎回不思議になります。もはや「ブランド」という定義がこの世代とは異なっているのだということを、アンケート結果から読み取るくらいで良いのになぁと。

 例えば超絶技術のある優秀な学生がいたとして、今までだったらその学生は「海外留学→ラグジュアリーメゾンのインターン→就職→帰国・独立」という流れだったかもしれませんが、ファストファッションを見て着て育った超絶優秀な学生が就職先にファストファッションを選んだり、誰でもアクセスできる価格帯のブランドを選ぶことは何ら不思議ではないと思うのです。それは彼らにとってそれがファッションであり、例えば社会貢献を考えたい学生がいたとしたら小さなコレクションブランドより社会的・経済的にインパクトのある大手アパレルを選んでそこで革新を目指す、というのも考えられます。

 「良いものを着たことがないのに良い服を作れるわけがない」そういう声も聞こえてきますが、これには私も同意見です。ただやはり、学生の頃なんて「良い服」はなかなか着れませんでした。自分の学生時代を思い返すとまだ「メルカリ(MERUCARI)」がなく、ブランド古着を買うなら「ラグタグ(RAGTAG)」をディグルのが手っ取り早かったのでそうしていましたが、きっと今の学生さんは「メルカリ」でチャチャっと売買をしているのでしょうね……。

 と、思ったら「よく利用するショップは?」の答えの4位に「メルカリ」が。その他は上から「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)/「ザラ」/「ユニクロ」でした。業界人的には「ダサい……」と言われている「楽天市場」もランクイン。コメントの中に「中古のアイテムがある」とありましたが、私も「楽天」ディグリ隊のひとりです。国内の古着屋が数多く出店しているので、ブランド古着をリサーチ&ゲットするにはここが一番なのです。「楽天はダサいから出品したくない」なんて言ってる業界人は、一度自分のブランドがどういった価値で二次流通しているか、現実を見に行った方が良いかと思います。

 そして最後にこの手のアンケートに対して物申したいことが一つ。自分が一般大学出身だから“やっかみ”もあるんですが(笑)、「なぜ業界の未来は専門学生にしか託さないのか!」ということ。いつもアンケートは専門学生が対象なので、正直未来のファッション業界を構成する人々の何パーセントなんだろう?と疑問に思うのです。例えば都内の大学にも服を作ったり雑誌を作ったりするファッション系サークルが数多くあります。私もその中にいたのですが、そこを卒業した人たちはデザイナーになる人もいれば(「ケイスケ ヨシダ(KEISUKE YOSHIDA)」の吉田さんとか)私のようにITだったり、ファッションメディアに就職したり、商社に行ったり、様々な立場でファッション業界を支える人材になっています。

 そうした人たちの声も拾うと、また違った未来が見えてくるのでは?と思うので、ぜひ次回のアンケートはもう少し母数を拡大して欲しいです。後輩学生へのバトンは私が渡します。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne