クリエイティブ・ディレクターの交代劇が相次ぐ昨今のファッション界において、先日のメンズコレクション取材で改めて心動かされたのは「変わらないことの強さ」でした。
「エルメス(HERMES)」のメンズ部門を37年間率いたヴェロニク・ニシャニアン(Véronique Nichanian)。彼女が手掛けるラストコレクションで披露された、アーカイブを織り交ぜた「ステイプルピース(定番)」の数々は、十数年前のものであっても決して古びない。それどころか、今この瞬間こそが最も美しいとさえ思わせる、まさに“一生モノ”の輝きを放っていました。
もちろん、誰もが「エルメス」の服を自由に買えるわけではありません。しかし、多くの服好きが「自分だけの一生モノ」を追い求めているという点では、きっと共感していただけるはず。メンズファッションとは、いわばそんな終わりのない「旅」のようなものだと思うのです。
ワードローブを見渡せば、黒いコート、白いシャツ、濃紺のデニム。「また同じような服を」と揶揄されがちですが、その選択の裏側には、生産工程への理解や素材への造詣、機能美への共感など、自分の言葉で語りたくなる物語がある。「これこそが最強の一着だ」と能動的に選び取った偏愛と探究心の結果です。
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