
百貨店からショッピングセンター、個店、ECまで、さまざまなショップを覆面調査員がリポートする連載「ミステリーショッパーが行く!」。今回は、4月に東京・二子玉川の「二子玉川ライズ」2階にオープンした「スノーピーク ライフ ビオトープ ストア 二子玉川」を調査。キャンプシーン以外から“野遊び”の価値を提案するプロジェクト“ライフビオトープ”の一環としてオープンした新業態で、スノーピーク初の家具ブランド「ツグカ」を展示・販売するほか、日常使いできるギアやアパレル、雑貨や食品などが並ぶ。店舗面積は約340平方メートル。(この記事はWWDジャパン2022年5月30日号からの抜粋に加筆をしています)
■今回の担当調査員
加賀美勉(55)
PROFILE:百貨店やコンサルティング会社を経て、現在は商業関連メーカーで販促プロモーションの開発にいそしむ。自称“プロの消費者”として百貨店をウオッチし続ける。革靴とワインを語り始めると止まらない。調査歴17年
高瀬浩子(45)
PROFILE:百貨店でインポートブランドの販売、広報を経験後、インテリアパーツの輸入・販売代理店に勤務。出産を経験し、今は実務翻訳家として活動。買い物は、マッサージを超えた究極の癒し!と公言。調査歴17年
調査日時:加賀美調査員2022年5月25日(水)15:00〜 晴れ 23℃ 高瀬調査員2022年5月21日(土)15:00〜 晴れ 18℃
ILUUSTRATION:ERI KOJIMA
【環境・施設】
加賀美:「蔦屋家電」を中心に、放射状にテナントが並ぶエリアの一角にあります。同店の入り口付近の書店コーナーにはキャンプや旅などの雑誌・書籍が置いてあり、相乗効果も抜群です。
高瀬:入ってすぐに大きなテントが張ってあり、アウトドアブランドの店だと一目で分かります。訪問前はスペースが限定された雑貨店をイメージしていましたが、広々とした店舗でびっくり。
加賀美:天井も高く、通路幅も広くてゆったりと回遊できました。
高瀬:天然素材を使った什器や随所の栽植にもブランドらしさを感じます。
【MD】
高瀬:同店のメインは、組み立て式の家具「ツグカ」です。3色から選べる木の柱をベースに、鋼の棒や板、パンチングウォールなどを組み合わせて、家の中にパーテーションやコーナーを演出します。家具はスノーピーク初だそう。
加賀美:ディスプレーでは「ツグカ」を軸に、テレビやソファ、キッチンなどを組み合わせて、自宅での具体的な活用シーンを上手く伝えていましたね。キャンプに親しみがある人や自然好きな人には刺さる家具だなと思いました。
高瀬:価格は25万円〜。法人と、同エリアの富裕層がターゲットでしょうか。
加賀美:「ツグカ」以外にも、日常使いできるカセットコンロやダッチオーブン、ランタン、カトラリーなどライフスタイル寄りのアイテムが厳選されていました。
高瀬:キャンプギアといっても洗練されたデザインで、自宅でも違和感なく使えるものばかりでしたね。アパレルは「スノーピーク」と、素材や染めにこだわった「ヤマイ」があります。
加賀美:テクニカルウエアも、無地で使いやすいアイテムが多かった印象です。北海道のエビラー油やチーズのオイル漬けなど、全国から集めた食物販コーナーも独自の品ぞろえで面白かった。
【接客・サービス】
加賀美:スタッフはカウンター中心に作業をしていて、顧客は自由に売り場を回遊するスタイル。テーブルが気になり、「自宅の庭でグリルバーナーを使ったバーベキューをするのですが、油が飛び散って汚れが気になっています。このテーブルはどうですか?」と自分から声を掛けてみました。
高瀬:どんな反応でしたか?
加賀美:「竹を使っていて、表面はフラットに加工しているので、サッと拭いてもらえれば汚れはすぐに落ちます」との回答。さらに「この安全バーを外すだけで、ワンアクションで折り畳めますよ」と実際に見せてくれたほか、永久保証があるので故障しても安心、竹の表面は経年変化でいい色に変わってくるなど、商品の利点を簡潔に説明してくれました。
高瀬:スムーズな対応ですね。私は「ツグカ」を見ていると「どのような用途でお探しですか?」とアプローチがありました。部屋の間取りもヒアリングしてもらい、設置場所や必要なパーツ、価格をシミュレーションしてくれました。冷やかしだと思わず、丁寧に接客してくれて気持ちが良かったです。
【総合】
高瀬:「ツグカ」のほかにもアイテムが充実し、キャンプ好き以外も楽しめる店舗。日常使いできるキャンプギアは、見ているだけでテンションが上がります。
加賀美:部屋のしつらいを考えるときに立ち寄りたいですね。的確かつ親身な接客もよかった。
【合計得点】
