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花王とコーセーが水平リサイクルと化粧品廃棄問題の解決を目指しタッグ

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 花王コーセーは、昨年10月から化粧品事業のサステナビリティ領域において包括的な協働をスタートさせている。その狙いは、人や社会、地球環境などあらゆる分野での社会的課題を、それぞれの強みを持ち寄ることで、より効果的かつスピーディに持続可能な社会の実現に寄与するソリューションを見いだせることにある。そこで今回は、花王・化粧品事業部門事業推進センターの塩地秀行戦略企画部長とコーセーの原谷美典執行役員経営企画部長が対談を行い、協働の取り組み内容や現在の課題、今後の目指すべきものについて話を聞いた。(この記事はWWDジャパン2022年5月30日号からの抜粋に加筆をしています)

WWDJAPAN(以下、WWD):サステナビリティ領域において包括的な協働をスタートさせた経緯は?

塩地秀行花王化粧品事業部門事業推進センター戦略企画部長(以下、塩地):両者の社長(⻑⾕部佳宏花王社⻑、小林一俊コーセー社長)が話をする機会があり、その中で、同じ化粧品を扱うメーカーとして互いに持っていない部分をリスペクトし、新たな取り組みを一緒にしてみたいと意気投合した。特にサステナビリティ領域において2社が同じ視点で取り組めば、活動の加速につながる。化粧品業界では、一般的にメイクアイテムは使いきれずに残念ながら破棄してしまうというシーンも多々ある。そういった点も一緒になって考えることで、環境や社会にフィードバッグできるのではないかと両社の社長間で話が出た。協働に関する契約を交わすまでの期間は、2カ月程度ととても早かった。

原谷美典コーセー執行役員経営企画部長(以下、原谷):両社は似ている部分と異なる部分のバランスが良く、お互いにないものを持っている。われわれも技術に強いこだわりがあるが、花王さんの技術指向や先進性は衆目の一致するところである一方、アイデアやトレンドなど右脳的な感性の点は長谷部社長から当社に対し高い評価をいただいたと小林から聞いている。これまでも環境負荷の問題は共通認識として、使用済み容器の回収・リサイクルなどを各々で進めてきたが、一緒になって業界全体で取り組めばスピードも違ってくる。ライバル同士だった2社が協働し、サステナを重視するという同じ目的に進む行動は業界内でもとても好意的に迎えられている。初めは2社でスピーディに着手し、ゆくゆくは3社、4社と協働するメーカーを増やしていくことが狙い。そのための土台を整える状態にすることをいま進めている。

WWD:協働の取り組み第1弾も2月に始まっている。

塩地:花王が推進する「化粧品プラスチックボトルの水平リサイクル」と、コーセーさんがモーンガータ社に協力する「使われないメイクアイテムを絵具などへ再生利用する取り組み」を2社で協働するというもの。当社では2月から7月末までブランド「トワニー」を扱う関東エリアのイオン直営店舗、さらにイオンモール内の化粧品専門店「カラースタジオ」にて使用済みの化粧品プラスチックボトルを回収し、ボトルtoボトルの水平リサイクル実現に向けた実証実験に取り組んでいる。また、トワニーで採用をスタートしたケミカルリサイクルPET素材については、「エスト」「リサージ」など他ブランドでも順調に採用が進んでいる。

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