ファッション

キム・ジョーンズ加入の「フェンディ」がクチュールを披露 自身初のウィメンズについて語る

 「フェンディ(FENDI)」は1月27日、キム・ジョーンズ(Kim Jones)の加入後初となる2021年春夏オートクチュール・コレクションを発表した。会場は、パリ旧証券取引所。上から見るとアイコニックな“ダブルF”のロゴが並ぶガラス張りの迷路のようなセットを用意し、ロマンチックなコレクションを披露した。

 「私は行動派。(時機を)待つことが助けになることもあるとは考えていない」。そう語るキムが本格的にウィメンズウエアを手掛けるのは初め手のことだが、昨年9月に「フェンディ(FENDI)」のオートクチュール、プレタポルテ、ファー・コレクションのアーティスティック・ディレクターに就任してすぐにコレクションに取り掛かったという。

 迷うことなく今回のテーマに選んだのは、作家ヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf)が恋人のヴィタ・サックヴィル・ウェスト(Vita Sackville-West)に捧げた小説「オーランドー(Orlando)」と、画家やインテリアデザイナーとして活動し、妹のウルフと共にブルームズベリー・グループの一員でもあったヴァネッサ・ベル(Vanessa Bell)だ。彼は大人になってからずっとこの2人の女性を称賛してきたとし、家の本棚には初版の「オーランドー」やブルームズベリー・グループの作家たちの作品が並んでいることを明かす。そして、「『フェンディ』が創業したのは1925年で、『オーランドー』が出版されたのは1928年。文字通り、歴史上の同じ時代から来ている。そして、今でもとても現代的でつながりを感じるものであることが興味深いと思った」と振り返る。

 そんな長い歴史を持つ「フェンディ」にとって“ファミリー”は重要な要素であり、キムはその点も大切にしている。今回のコレクション制作には、メンズウエアとアクセサリーのアーティスティック・ディレクターを務めるシルヴィア・フェンディ(Silvia Venturini Fendi)と、シルヴィアの娘でジュエリーを手掛けているデルフィナ・デレトレズ・フェンディ(Delfina Delettrez Fendi)も携わっており、デルフィナはモデルとしてショーにも登場。それだけでなく、初の親子共演となるケイト・モス(Kate Moss)と娘のライラ(Lila)、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)、クリスティ・ターリントン(Christy Turlington)と甥のジェームス(James)、カーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)、デミ・ムーア(Demi Moore)、ベラ・ハディッド(Bella Hadid)といった、キム自身や「フェンディ」とつながりの深いモデルを多く起用した。また、ルックの一つは、同ブランドで54年間、ファーやウィメンズウエアをデザインしてきた故カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)氏のスケッチから引用したものだという。

 今回発表されたのは19ルックで、これだけでキムのウィメンズウエアに対する視点を完全に理解するのは難しいが、テーラリングとドレスを織り交ぜており、大胆な装飾に秀でている。ファーストルックは、オフショルダーのネックラインが印象的なシルクのような黒のパンツスーツをまとったムーア。胸元まで垂れる大ぶりなイヤリングと本型のクラッチがアクセントを加えている。また、ハディッドが着用した水のようにきらめく透明なケープや繊細なビーズ刺しゅうをあしらったイブニングドレスをはじめ、ドレスは高い位置で絞ったエンパイアウエストと長いトレーンという時代感のあるデザインが特徴。さりげなくセンシュアルでありながら実にロマンチックに仕上げられているのが絶妙だ。そして、ウルフと夫のレナードが出版した手刷りの本やローマにあるボルゲーゼ美術館を想起させる大理石模様の艶やかなドレスとマントに身を包んだキャンベルがショーを締めくくった。

 キムは「ダンヒル(DUNHILL)」や「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のメンズ、そして現在も手掛けている「ディオール(DIOR)」のメンズで結果を出した後に「フェンディ」に加入したが、彼にはブランドを理解するための自分なりのやり方があるようだ。「新たなメゾンに加わったら、何がその柱で、顧客が何を求めているかを考える」と話し、そこからさらに拡げる道を模索するという。「フェンディ」においても、彼は故ラガーフェルド氏が2015年に始めたファーを中心としたクチュールを得意としていることを理解している。今回は同ブランドのクチュールにとって初の春夏となるが、「私は彼らが提案できるものの幅を広げたかった。会社がすでに持っているものと持っていないものを見て、それをどうやって広げていくかを考えるのが好きなんだ」と語る。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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