ファッション

EC化率アップだけでは儲からない「ユニクロ」 齊藤孝浩のファッション業界のミカタVol.9

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 企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版社)の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回はファーストリテイリングの2019年8月期決算にみるユニクロの課題の第2回。(この記事はWWDジャパン2019年12月8日号からの抜粋です)

 前回に引き続き、今回もファーストリテイリングの2019年8月期決算の注目ポイントを紹介します。今回は“販売効率”についてです。

 私が特に注目しているのは、EC事業の効率です。ユニクロは今後、1店舗当たりの効率を高めながら、ECの売り上げを30%に増やすことによって、国内事業を拡大しようとしていますよね。

 EC化率30%が可能かどうかの根拠という意味でいくと、例えばイギリスのSPA、ネクストは約50%を誇ります(19年1月期決算、以下同)。彼らの営業利益率はリアル店舗で10.9%ですが、ECの営業利益率は18.4%で、事業全体が18%です(その他のファイナンス収入などを含む)。実は営業利益率ベースでいくと、グローバルアパレル専門店の売上高トップ10の中では一番良く、つまりファーストリテイリングやインディテックス(「ザラ」)までも超えているんです。先に母国で成熟段階に入ってしまった先例として、ユニクロ国内事業にとってはネクストのビジネス構造が今後進むべき道の一つになるのではないかと私は見ています。

 そもそもネクストはECを始めたのが1990年代後半と早かったことと、イギリスは日本と比べると通販事情はよろしくないので、500店舗を超える店舗網と独自の物流も使って、オンライン注文した商品を翌日にお客さまが指定の店舗で取れるサービスを早くから進めていていたところがポイントです。お客さまの利便性を考えて店舗で受け取れるということを早くから推進していたんです。ですから、オンライン注文の店頭受取比率は約50%と高いです。

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