ビジネス
連載 齊藤孝浩の業界のミカタ

ついに黒字化! 決算書から読み解くエアークローゼット“物販とレンタル”の違い

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企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回は初めて黒字化したエアークローゼットの決算書から、レンタル事業のビジネスモデルを検証する。(この記事は「WWDJAPAN」2025年9月8日号からの抜粋です)

ファッションサブスクレンタルサービス「エアークローゼット」を展開するエアークローゼット(AIRCLOSET)が、2025年6月期において上場後、初めて黒字を達成しました。同社の最新決算書からは、レンタル事業ならではの独特な収益モデルと財務的特徴が読み取れます。

25年6月期の売上高は前期比17.6%増の49億5700万円、営業利益は1億200万円(前期3500万円の赤字)です。売上高の大半は月額制サブスクリプションによる会費収入で、会員数は、4年前の2020年の約1.8万人から直近では4万人超に増加しています。売上高も会員数も年平均成長率はほぼ一緒。つまり、いかに月額会員数を増やすかにかかっています。

そのほかには、会員が気に入った服を購入したり、エコセールとして販売した服の売り上げや、さまざまなオプションへの課金が加わります。

エアークローゼット 2025年6月期

同社のPL(損益計算書)を見てみましょう。1回出荷するときにかかる労務費、商品の検品代、そして後ほど触れる減価償却など、売り上げの変動に直接ひも付けられる変動費の多くを「売上原価」としています。これまで見てきた仕入原価が売上原価となるアパレル販売企業の売上原価とは違っています。

決算短信や決算説明会資料から、数字を拾ってグラフを作ってみました。販管費で一番大きいのは広告宣伝費で、売り上げ対比15%。会員数を増やし続ける必要があるので、マーケティング投資が最大の経費です。その他にカード会社等に支払う支払手数料、人件費、その他が計上されています。

実は安定しているキャッシュフロー

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