ファッション

ECデパート「スタイルヴォイス ドットコム」ローンチへ準備着々 13社40ブランドの参加が決定

 ジュン、マッシュホールディングス(HD)、デイトナ・インターナショナルの3社はECデパート「スタイルヴォイス ドットコム(STYLE VOICE.COM以下、スタイルヴォイス)」を11月7日にローンチする。10月23日時点で3社を含む、13社40ブランドの出店が決定し、同ECの柱である記事コンテンツの作成を担うキュレーターも11人集まった。発足後は月に100本以上のペースで記事投稿を予定。本格オープンは来春とし、「メディア並みの発信力を備えたEC」(佐々木進ジュン社長)を目指し着々と準備を進めている。

 出店が決まったショップは、アダストリア傘下のエレメントルールの「バンヤードストーム(BARNYARDSTORM)」や水着の「アリシアスタン(ALEXIA STAM)」、ランジェリーの「ウンナナクール(UNE NANA COOL)」、ギフト菓子の「ディーン&デルーカ(DEAN & DELUCA)」など、女性のライフスタイル全体をカバーするラインアップだ。来春にはメンズ向けブランドの拡充も計画する。10月22日時点での参加ブランドは以下の通り(ジュン、マッシュHD、デイトナのブランドは除く。カッコ内は企業名)。

「ディーン&デルーカ」(ウェルカム)、「アイヴォル」(アイヴァン)、「メディコムトイ」(メディコムトイ)、「ウンナナクール」(ウンナナクール)、「アリシアスタン」(EXJ)、「バビロン」(エレメントルール)、「バンヤードストーム」(同)、「カオス」(同)、「カレンソロジー」(同)、「ヒガシヤ」(HIGASHIYA)、「エニーティー」(マーケタブル)、「西川」(西川)、「マンハッタンポーテージ」(コード)

 立ち上げにあたり、3社は6月に合弁の新会社スタイルヴォイスを設立。当初はジュン、マッシュHDの折半を計画していたが、デイトナも加わったことで、「EC化率が50%を超える(デイトナの)価格プランニングやMDを参考にできるようになった」(近藤広幸マッシュHD社長)というシナジーも生まれた。

 3社による話し合いは「大枠で概念的なところからではなく、リアルなニーズを起点にアイデアを積み重ねた」(佐々木社長)。その中で「スタイルヴォイス」の役割は「買い物を通じてお客さまに新しい世界を見せる」ことで一致。ECサイト上では、モデルやクリエーターら影響力のあるキュレーターによる記事コンテンツを最重要なものと位置づけ、販売ページよりも上部に、インスタグラムの「ストーリー」のような丸窓でリンクを設置する。「記事コンテンツを通じ、お客さまはもちろん、企業自身がブランドの新しい魅力に気付くような発信をしていく」(近藤社長)。

 6月の「スタイルヴォイス」の発表会で佐々木社長は「ECの拡大により買い物が自販機のように無味乾燥なものになっている」と問題提起したが、「『スタイルヴォイス』は、従来のECの『目的買い』で利用するという役割を変えるものになる。ふらっと立ち寄っても、思いがけず新しい興味や欲しいものが見つかる、そんなデパートになる」(鹿島研デイトナ社長)と自信を深める。

大事なのは作り手と受け手の距離 熱量のある発信に注力

 サイト運営の手綱を握るのは、スタイルヴォイス社の社長に就任した、「レイ(Ray)」や「ミーナ(mina)」の編集長などを歴任し幻冬舎「ジンジャー(GINGER)」の創刊編集長も務めた片山裕美氏。「どう売るかという戦略的なことよりも、まずは訪問してくれたお客さまの心をどう動かすかがサイト作りの起点になる」。キュレーターの記事はタイアップではなく、料理やスポーツなどテーマも問わず、書き手のライフスタイルが透けて見えるよう、自由に作成してもらうことに決めた。「キュレーターに自由に発信をまかせると、企業やブランドイメージを損なうリスクもはらむ。それでもこれだけの企業・ブランドの賛同を募ることができたのは大きい」。

 片山社長は「今は消費者も発信する側も、リアルで温度感のあるコミュニティーを求めている」と考える。その理由を雑誌と読者の関係の変遷からひも解き、「かつてファッション雑誌でカリスマ販売員が影響力を持っていた時代は、作り手と読み手の距離が近い一つのコミュニティーだった」と振り返る。「だがSNSの発達で消費者が求める情報のハードルも高くなり、雑誌の内容と読者が読みたい内容にズレが生まれた。かつてのような読者とのコミュニケーションを取り戻すには、広告臭のするコンテンツではなく、リアルで熱量がある発信がカギになる」と語る。

 キュレーターはモデルの佐田真由美、竹下玲奈、スタイリストの大草直子やメンズスタイリストの望月唯など11人が決まっている。そのほか、商品企画やEC掲載アイテムの写真撮影などのアドバイザーとして、6月の構想発表から現在までで約50人のインフルエンサーを迎え入れた。

 売り上げ目標は3年で50億円を掲げる。「数値目標と同様に、サイトのファンを作ることに重きを置く。お客さまとの濃密なコミュニケーション、キュレーター同士のヨコのつながりを活発にし、新しい化学反応が生まれる場所にしていきたい」(片山社長)。

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