玉川高島屋S.C.は地元住民により親しまれる館になるべく、24年からさまざまなリニューアルを行っている。3月には南館4階に「ユニクロ(UNIQLO)」が出店。オープン記念の「ロンハーマン(RON HERMAN)」との限定コラボTシャツが即日完売し、急きょ追加生産をするほどのにぎわいとなった。東神開発の青木浩営業本部玉川事業部第一営業担当部長に商況を聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2025年8月25日号特別付録「ビジネスリポート2025年上半期」からの抜粋です)
WWD:2025年上半期の商況は?
青木浩営業本部玉川事業部第一営業担当部長(以下、青木):館全体の売上高は前年同期比2.8%増だった。3月20日に「ユニクロ」が4階にオープンし、その効果が上乗せされて、予算を上回る結果が出せた。オープン記念の「ロンハーマン」とのコラボが予想以上に話題と来店客を集め、初日は混乱もしたが、良い手応えを得た。「ロンハーマン」は国内2号店として10年に出店し、14年に現在の4フロアの大型店になり地元のお客さまに愛されてきて今回のコラボに至ったが、改めてそのブランド力を感じた。24年から館内のリニューアル工事を行っていることもあり、1月と2月は苦戦した。1月は2日を休館したことによる売り上げ減があり、玉川スペシャルデイズ期間の売上高もコロナ以降初めて前年を割った。2月も前年がうるう年で、営業日が1日少なかったこともあり、前年に対してマイナスだった。3月も「ユニクロ」のオープンまでは厳しかったが、ちょうどその時期から気温も上がり始め、ポイントアップキャンペーンも重なって、3月は同3.6%増、4月は同9.1%増、5、6月は同8.2%増と、3月以降は前年を超えた。衣料品売上高は同13.6%増。ここは特に「ユニクロ」効果が大きい。ただし、既存店でも館の売上高は同5.0%増、衣料品でも同2.6%増で、「ユニクロ」の数字を除いても前年をクリアできている。「ユニクロ」を買いに来る人による買い回り効果は今のところ衣料品にはそれほど表れていないが、食料品や飲食店、生活雑貨の買い回りにはプラスの効果が出ている。今後、衣料品への波及効果も期待している。入店客数も1〜6月で同6.5%増。ここも1、2月はマイナスで3月の「ユニクロ」オープン以降大きく増えた。衣料品の客単価は、「ユニクロ」を入れると同38.4%減の1万9000円。既存店では同5.4%増なので、上昇傾向は変わらない。
WWD:「ユニクロ」自体の売り上げはどうか?他に好調なショップは?
青木:「ユニクロ」は想定以上の数字を取っている。それ以外では「バンヤードストーム(BARNYARDSTORM)」が同25.0%と好調。数シーズン伸ばし続けている。程よくオシャレ感があり、玉川のお客さまと相性が良いこと、商品供給の体制が整ったこと、スタイリング提案を強化してセット率を上げているのが奏功した。「マックスマーラ(MAX MARA)」も同15.0%増。春の寒い日にスプリングコートがよく売れた。販売体制を整え、4〜6月にコートの受注会などのイベントを行うなどの戦略が当たった。「エブール(EBURE)」は同11.7%増。キレイめなスタイルが強いブランドだが、玉川のお客さまの好みに合わせて、カジュアルアイテムとのコーディネートで気軽に着られるような提案を強化して、新規や離反した顧客の再獲得ができている。昨年10月にリニューアルオープンした「ユナイテッドアローズ」は同9.3%増。店内の様子が分かる構えにしたので、中のにぎわいが見え、それがお客さまを呼んでいるようだ。MDも少しクラス感が上がるようにしてもらっている。「フェイラー(FEILER)」のギフトショップ「ラブラリー バイ フェイラー(LOVERARY BY FEILER)」は同24.6%増。幅広い客層が取れている。ハンカチやコラボなどの仕掛けだけでなく、バッグが売れるようになっている。ギフト需要だけでなく、自家需要も高い。ジュエリー「ポンテヴェキオ(PONTE VECCHIO」も同23.6%増と好調。平均価格が15万円程度と、値上げが続くラグジュアリーブランドからの流入顧客が非常に増えている。同様の流れでバッグの「ボナベンチュラ(BONAVENTURA)」や「ヴァジック」も調子が良い。フレグランスも引き続き好調で、特に「ディプティック(DIPTYQUE)」は同28.4%増とずっと伸び続けている。
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