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世代の異なる3人の記者が見た2020年春夏パリコレ 紙面に書ききれなかったこぼれ話を紹介!

 10月21日号の「WWDジャパン」は、2020年春夏パリ・ファッション・ウィーク(以下、パリコレ)特集第2弾です。今回「WWDジャパン」編集部は、編集長、中堅デスク、フレッシュな若手の3人で取材チームを編成しました。本紙では、「サステイナビリティー」「コミュニティーの作り方」「インフルエンサー活用法」「注目若手ブランド」など、3人がパリで感じた9つの潮流について鼎談形式で掘り下げています。ここでは、本紙掲載からは漏れてしまったおもしろトピックスを紹介。「パリコレのことがもっと知りたい!」と思った方は、「WWDジャパン」本紙をチェック!(ちなみに、パリコレ特集第1弾は10月7日号に掲載しています)

鼎談参加者
向千鶴:「WWDジャパン」編集長。パリコレ取材歴は15年以上にわたるベテラン
五十君花実:パリコレ取材は5年振りのデスク。普段はSPAや百貨店の取材も担当
丸山瑠璃:パリコレ初参戦の24歳ソーシャルエディター。SNSスキルは編集部内でもピカいち

TOPICS1
招待状から感じる時代の波

向千鶴(以下、向):招待状がどんなデザインだったかを知りたいといった声を読者の方から時々聞くんだけど、今回本紙では招待状に触れていません。2人は招待状で何か気になる傾向はあった?

五十君花実(以下、五十君):10月21日号で、若手ブランドの注目株「ロク(ROKH)」のことや、その“エモい”クリエイションについて触れていますが、「ロク」の招待状はデザイナー自身が10歳の頃に家族でロードトリップした時の家族写真のポジフィルムで、まさに“エモ”かったですね。

丸山瑠璃(以下、丸山):「マリーン セル(MARINE SERRE)」の折り畳み傘の招待状は当日の小雨の中で使えたし、本当に嬉しかったです。黒地だからあまり目立たないんですが、ちゃんとアイコンの三日月プリントも入っていたし!ショー中にみんながあの傘をさしていたのは、演出にもなっていいなと思いました。

向:今季はサステイナビリティーにいかに取り組むかがパリコレでも一大潮流になっていたけど、私が意外だったのは「リック オウエンス(RICK OWENS)」です。大きなプラスチックの招待状だったんだけど、よく見ると“100%リサイクルプラスチック”って書いてあったんだよね。あまりサステイナブルのイメージはないブランドだけど、各ブランドがそれぞれのスタンスでサステイナビリティーに取り組んでいる、ということの好例だったと思います。好感度が上がりました。

五十君:「セリーヌ(CELINE)」のエディさまのポスター集みたいな招待状も嬉しかったですよね。正直、全部の招待状は日本に持ち帰ってきていませんが、あの招待状はきっちり持って帰ってきました。数年後に価値が上がりそうだなと思って。とは言え、もちろん売る気はないですよ!そこは誤解のないよう。

丸山:私は招待状をほぼ持ち帰ってきたので、帰りの飛行機で重量オーバーしちゃって荷物を詰め替えるのに苦労しました……。

向:エライ!その努力がこの記事を支えています!

TOPICS2
服だけじゃない!演出も含めて
心をつかんだブランドはココだ

向:パリコレという場が、次にはやるトレンドを提示する場というよりも、ブランディングの場、イメージメイキングの場になっているということを本紙10月7日号、10月21日号の両方で伝えてきましたよね。

五十君:はい。単にトレンドをきれいにまとめて出してくるブランドにはもう心は動かない。ショーを通して発信するストーリーがますます重要になっている、という話ですね。

丸山:サステイナビリティーも、そうやって打ち出されたストーリーの1つとも言えますもんね。

向:というわけで、演出面含めてストーリー作りがうまいと思ったのはどこだった?

五十君:印象的なブランドが多くて絞るのは難しいですけど、「サンローラン(SAINT LAURENT)」はかっこよかったですね。エッフェル塔を借景にして、光の柱の中をモデルが歩いてくるという、ブランドがこの間続けている王道中の王道な演出でしたけど、王道にはやっぱり説得力があるな~。くやしいけどガッチリ心をつかまれました。

エッフェル塔を借景にした「サンローラン」

丸山:空を突き刺すライトとエッフェル塔のライトが呼応しているようで、すてきでしたよね。会場は半屋外だったので、街行く人も立ち止まって興味津々で見上げていて、パリジャン&パリジェンヌに息づくブランドなんだということを実感しました。演出もBGMもダイナミックだったので、公式のショー動画を見ると、まるで映画みたいですよ!

向:私が印象的だったのは「マリーン セル」と「ディオール(DIOR)」かな。「マリーン セル」は屋外の自然をそのまま生かした演出で、小雨も心地よかったよね。サステイナビリティーとも縁深いブランドだからリンクしていたし。「ディオール」は“森の再生”をテーマにした演出でしたが、今季とこれからのファッションビジネスを象徴するショーだったと感じます。

自然の中でショーをした「マリーン セル」

“森の再生”をテーマにした演出の「ディオール」

TOPICS3
自分ごと化する
サステイナビリティー

五十君:招待状、演出とここまで話してきましたが、やはりサステイナビリティーにいかに取り組むか、ということが大きなテーマになっていましたね。

向:ブランドの規模によってもサステイナビリティーに関してどんなことができるかは違ってくるけど、恐れずに、自分ができることからまずやってみるという姿勢は今季いろんなデザイナーから感じました。2人は、自分でも実践しているサステイナブルな取り組みはある?私はバックステージ撮影をお願いしているフォトグラファーの景山郁さんが「ブリタ(BRITA)」の浄水機能付き水筒を持ち歩いていたのに触発されて、帰国してすぐに同じものを買いました。パリコレ以降、ペットボトルはまだ1本も買っていませんよ!

五十君:すごい!ちゃんとしてる!!私はまだそこまでの行動には至っていないですが、コンビニや自動販売機で毎日のようにペットボトルを買うことには罪悪感を抱くようになりました。その感覚は日に日に強まっています。

丸山:私はパリの街に広がっていた「ライム(Lime)」が印象的でした。電動キックボードのシェアサービスなんですが、エコだし楽しいしで展示会を周るのにすごく重宝しました。この楽しさを伝えたくて、乗っている時の動画を撮ったので是非ご覧ください!

五十君:私も「ライム」は丸山さんと挑戦してみましたが、確かに楽しかったです。ただ、体幹を鍛えていない私は何度もコケそうになって、かなりビビりながら乗っていました。そんな時も丸山さんは車の間を縫ってスイスイ行っちゃうので、「ライム」に対する圧倒的な才能の差を感じました……。

丸山:「ライム」は渋滞に巻き込まれないので、車や電車よりも早く着くんですよ!これはもう乗るしかないですよね。一般的に、サステイナブルを目指すとコストや手間がかかるものですが、「ライム」みたいなサービスをどこかが導入すれば、みんな楽しく、低コストでサステイナブルを実践できていいのにな~と感じました。

向:2人とも、本当にケガだけはしないでね。私はそれにひやひやしていたよ。

「ライム」に乗っている時の気分を動画でお楽しみください

番外編
パリのおみやげはこれがオススメ

五十君:入稿がひと段落した最終日近くに、皆で空き時間を見付けて百貨店のボン・マルシェ(LE BON MARCHE)食品館で買い物をしたのが楽しかったです。向さんが大量に「エシレ(ECHIRE)」バターを買い込んでいた姿が目に焼き付いています。

向:買い過ぎて、よく「バイヤーなの?」とからかわれるけど、「エシレ」は毎シーズン最低5個は購入します。帰国したら即冷凍して、パンに塗るのにもソテーにも何にでも使います。いろんなバターを試したけど、やっぱりこれが一番おいしいんだよね。これなしには生きられないかも。日本で買うと高いし。あとは、「アルジアーリ(ALZIARI)」のオリーブオイルと「ブレイズ(BLAZE)」のバルサミコクリームも必須!私は五十君さんの買っているものを見て、「酒のツマミみたいなものばっかりだな」と思っていたよ。

五十君:……確かに、サラミや生ハムは部屋で食べる用にスーパーで買い込んでいましたし、ボンマルシェではボッタルガ(からすみ)パウダーを大量に買いましたが、私は今回の出張中、自分の部屋では1滴もお酒飲んでないですから!ちなみにサラミやハム類は日本国内には持ち込み禁止です。読者の皆さん、ご注意ください。

丸山:私は果物が新鮮でおいしくて感動しました!特にブドウがおいしくて、3回以上スーパーでリピート買いしたかも。10月21日号の「インフルエンサーとの上手な付き合い方」記事の中でも紹介した、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」お気に入りのアメリカ人脱力系ユーチューバー、エマ・チェンバレン(Emma Chamberlain)は、初めてのパリに興奮して、「なんでこんなにミントがおいしいの!」って、食事の飾りについていたミントまで激賞する動画をあげていましたが、気持ちは分かります。

向:なんか、買う物にはその人らしさが出るから面白いなって、改めて思うパリ出張だったよ。