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2020年春夏のパリコレ開幕 新緑の煌めきで会場を包んだ「マメ」や、「セリーヌ」「バレンシアガ」出身の若手勢に期待

 2020年春夏シーズンのパリ・ファッション・ウイークが9月23日に開幕した。トップバッターを飾ったのは、今回初めて公式スケジュールに参加した「マメ(MAME KUROGOUCHI)」だ。初日はその他「バレンシアガ(BALENCIAGA)」出身の韓国人デザイナーによる「キムヘキム(KIMHEKIM)」や、フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)時代の「セリーヌ(CELINE)」で経験を積んだ韓国人デザイナーが手掛ける「ロク(ROKH)」がコレクションを発表。アジア出身の若手勢が勢いを見せた1日になった。

 「マメ」の今季は「包む」という概念を中心にコレクションを構築した。蚕虫の繭、草木を守るように広げられたネット、無造作に捨てられていた漁網、そしていつの間にか美しい新緑に包まれている初夏、それら全ての「包む」を服に落とし込んだ。ルーズに編まれたメッシュトップスやメッシュドレス、「マメ」らしい繊細なジャカード、刺しゅう、ニッティングで体を優しく包む。バイカーパンツというブランドには一見意外性のあるアイテムも、メッシュスカートやワンピースをレイヤードすることでスポーティーになりすぎず水々しく健康的な印象を与えた。

 カラーパレットは新緑のグリーンと夏の眩しい日差しを想起させるホワイト。曇りガラス越しに見る夏の緑の景色を表現した。また、「トッズ(TOD'S)」とコラボしたパンプスも発表した。カラーはブラック、ネイビー、ホワイトの3色で、「マメ」らしい優雅なシルエットに仕上げた。

 「キムヘキム」も今季初めて公式スケジュールに参加。デザイナーのキミンテ・キムヘキム(Kiminte Kimhekim)の出身国である韓国の民族衣装にインスパイアされた柔らかなシフォン素材を用いたアイテムと、「バレンシアガ」などの経験で培ったテーラーリングが人気のブランドだ。前シーズンはテーラーリングに注力し“ポスト・フィービー枠”の一角に食い込んできたかと思いきや、今季は一転しシルエットはぐっとシャープに、ボトムスもワイドパンツからミニスカートに変化。大きなパールのボタンを重ねて素材にたるみを持たせたブランドのアイコン的なデザイン、“ヴィーナス”も、しっかりとウエストをマークしている。

 “ME(私)”と題したコレクションには、SNSで注目を浴びようとする人々をやゆするように、自撮り棒を持って歩くモデルや、“SICK”と書かれたTシャツを着て点滴を引くモデルが登場。今までには見られなかったユーモアでブランドの新たな可能性も垣間見れた。サングラスをかけ、ポケットに手を突っ込んで会場を駆けるように歩くモデルを見ると、“ポスト・フィービー枠”というよりもむしろエディ・スリマン(Hedi Slimane)の影を感じる。

 フィナーレに登場したデザイナーのキムヘキムは照れながらもアレキサンダー・ワン(Alexander Wang)のように会場を走り抜け、歓声が湧いた。間違いなくブランドの勢いを感じた瞬間だった。

 前シーズンにパリコレデビューを果たした「ロク」は、フィービー・チルドレンとして名前があがることも多い韓国系アメリカ人、ロック・ファン(Rok Hwang)が手掛けている。自身が育ってきた1990年代のユースカルチャーを感じさせるフレッシュな感覚と、クリーンなムードのミックスが持ち味だ。今季は、自身が10歳だった1994年に、家族と共にニューヨークからヨセミテまでロードトリップした思い出が着想源。得意のトレンチコートを変形させたシャープなドレスでスタートしつつ、登山用ロープやカラビナなどのディテールで遊びを加える。チェック柄ドレスに重ねたほつれ穴のようなプリントは、グランジのムード。スーツにバックパックを背負っているようなスタイリングは、実はバックパックのベルト風の飾りを付けているだけ。スカートスーツにボリュームたっぷりなスニーカーといったスタイルも目立つ。「僕ら1980年代生まれの世代は、スタイリングは何でもアリだから」とファンは説明する。