毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2025年12月8日号からの抜粋です)
佐藤:半期に一度の恒例のメンズリアルトレンド特集です。2026年春夏、国内のメンズブランドがどんな提案をするのかを紹介します。今シーズンはシャツを切り口にしました。
小菅:シャツは暑いイメージがあり、夏はついTシャツ一辺倒になりがちですが、展示会を回ってみて、通気性の高い凹凸感のある素材やシアー素材、天然素材を用いての酷暑対策により、涼しく着られそうなものも多いと思いました。シンプルな中にも差があって、重ね着や丈感の違いでさまざまに遊べます。着てみたいと思いました。
シャツのアウター化の流れが顕著
佐藤:僕はドレスシャツについて伊勢丹新宿本店とメーカーズシャツ鎌倉に取材をしましたが、共に「ドレスシャツを着る機会は減ったが、その分いい一枚を買う人が増え、単価は上がった。全体としては伸びている」という状況でした。シャツのアウター化の流れも顕著で、メーカーズシャツ鎌倉も羽織れるタイプのオーバーシャツを来年に発売するそうです。村上(要)編集長と本橋(涼介)さん、スタイリストの井田正明さんに欧州コレクションを振り返ってもらい、リアルクローズのトレンドとどう接続するかを考察してもらったページも読み応えがあります。小菅くんは何が印象に残りましたか?
小菅:表紙のスタイリングです。テーマは身支度。リアルトレンドなので、日常に根付いたスタイリング
を、あえて作り込みの少ない部屋の一角で撮影しました。コットンの洗ったシワ感や色あせのムラなど、営みを感じる表情のあるアイテムをそろえてもらい、ドレスとカジュアルの間の“ちょうどいい”着こなしの表現ができました。ユナイテッドアローズはそれを“ジャストルーズ”というサイジングで表現していましたが、“ちょうどいい”感じがトレンドですね。スタイリストの気分ともうまく合致していました。
佐藤:いい表紙ができましたよね。「ブルックス ブラザーズ」のさまざまなブランドとのコラボアイテムなど、展示会では限定品や別注品も充実していました。気候に関係なく集客をするための話題作りや新鮮な取り組みも重要です。