ファッション

“音が出る布”で学生や「ヒステリックグラマー」北村信彦が試作プロダクト発表

国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下、産総研)は、音が出る布「ファブリックスピーカー」を開発してきた。昨年4月からは国際ファッション専門職大学との共同研究及び協賛企業との連携を始動し、ファッション関連プロダクトを制作。3月10日、試作発表会が行われた。

「ファブリックスピーカー」とは、銀メッキ繊維を活用した柔軟な電子デバイス。伸縮性があり、衣服として人の体にフィットさせることも可能だ。耐久性にも優れ、叩いたり、水に濡れたりしても壊れにくい。これらの素材をファッション領域で活かすべく、国際ファッション専門職大学との共同研究に至ったという。本発表会では、国際ファッション専門職大学の学生、北村信彦「ヒステリックグラマー(HYSTERIC GLAMOUR)」デザイナーが発案した試作品を発表した。

世界観を壊さずに音演出を行う
音が出るカーテン「ソナリア」

1つ目は音の出るカーテン「ソナリア(SONALIA)」。サンゲツ、槌屋、槌屋ティスコ、そして東京モード学園 インテリア学科の協力のもと生まれた。

「ソナリア」は、本来見せたくない機材を視界からなくし、企業の世界観により没入感を与える“音が出るカーテン”。店舗やイベント空間からスピーカーなどの機材がなくなることにより、導線を確保するとともに、企業が作り上げた世界観を損なうことなく音演出ができる。

今回提案するのは、竹林をテーマにし、濃淡の竹のグラフィックが施されたカーテンだ。濃い色の丈の裏面にはスピーカーが配されている。このカーテンを取り付け、音を再生するまでにかかるのは30分ほど。和を感じさせる音楽と涼やかなカーテンは、旅館などにも取り入れやすそうだ。

米沢織と音が紡ぐ
「星を聴くマット」

2つ目に発表したのは忙しい生活の中で星を見上げたり、自然を感じる瞬間が少ない人に向け、日常の中で自然や宇宙を感じられる体験を届けることを目指し開発した「星を聴くマット」。就寝前のリラックスタイムや、瞑想やヨガの時間、読書や音楽を楽しむひとときに使用することを想定している。

協業したのはメード・イン・山形にこだわり、米沢織の製造・販売を行う「ニトリト(NITORITO)」。手織りにこだわったマットやクッションはとても柔らかく、耐久性も高い。足元のマット、手に抱えたクッションから音を聞くという体験は、スピーカーから音を聴くのとは全く異なる。「ファブリックスピーカー」を採用した商品について、今後キャラクターIPとの協業にも可能性を感じていると話した。

必要とする音と付き合うために
「音を選ぶための帽子」

3つ目は、「ヒステリックグラマー」から素材提供を受け生まれた「HSPノイズキャンセリングパイロットキャップ」。長崎から東京に上京した際、音の情報量の多さに疲労感やストレスを感じたという学生の経験から、日常の音を自由に調整できることの可能性を追求した。

ある調べによると、4人に1人がHSP(Highly Sensitive Person=外部刺激にとても敏感な気質を持つ人)だと言われている。人の感情や空気、音や光、匂いなどさまざまな情報を敏感に察知する気質を持つ人のことだ。このうち音刺激を回避するために、ノイズキャンセルイヤホンなどを使う人も多いが、突如知人に話しかけられた時に気づけないなど不便なことも多い。

そこで考えたのが「Active Noice Cancelling」という、マイクで拾った周囲の騒音に対して、逆位相の音波を生成し、音の波形を打ち消すことで、不要なノイズを軽減する技術だ。HSPではない人でも、ライブ会場など多くの刺激に溢れる場所などで着用すれば、もっとパフォーマンスに集中できるかもしれない。イヤホンではなくファッションアイテムとして取り入れられる帽子というのも、色々なシーンで使いやすいポイントだ。

最新技術とアナログの掛け合わせが生む面白さ
「ヒステリックグラマー」北村信彦氏

最後に「ヒステリックグラマー」を有するオゾンコミュニティの北村信彦氏が、素材提供、共同開発した試作品を発表。スピーカーが内蔵されたフライトキャップや、ピクニックなど行った先で音を流して楽しめるトートバッグ、音が流れる”WEIRD FROG”のぬいぐるみなどをラインアップした。このぬいぐるみが着用しているのは、阿波で裁縫、仕上げをおこなった「ヒステリックミニ(HYSTERIC MINI)」のTシャツだ。

国際ファッション専門職大学と同じく、学校法人 日本教育財団が運営する東京モード学園の卒業生でもある北村氏は、今回のコラボレーションの背景について「今回、国際ファッション専門職大学より『ファブリックスピーカー』開発者の吉田学先生の紹介を受け、元々音楽好きから始まり、今でも音がない生活は考えられない僕にとって、『ヒステリックグラマー』との高い親和性を感じた」と語る。「このような最新技術が生まれたとき、今の時代なら多くの人はAIで何かを作ってしまうのだと思う。しかし僕たちがこれまで持っていたようなアナログでフィジカルなもの、伝統的なものを新たな技術と掛け合わせることで、きっと何か面白いものが生まれるはずだ。昔からある日本の美と最新技術を掛け合わせたものを提案し、海外から来た人に感動を与えられたらうれしい」。

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