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「ルイ・ヴィトン」がテキサスに新工房をオープン アルノー会長とトランプ米大統領が握手

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は10月17日、テキサス州ジョンソン郡に「ルイ・ヴィトン」のレザーグッズ用の工房を新たに設立した。米国内の工房としてはこれが3カ所目となる。

 「ルイ・ヴィトン・ロシャンボー・ランチ(Louis Vuitton Rochambeau Ranch)」と名付けられた同工房は105ヘクタールに及ぶ広大な牧場の中にあり、工房自体の面積は約9300平方メートル。今後5年間で1000人程度の雇用を生み出す予定だ。工房の名前は、アメリカ独立戦争の際にフランス軍を率いてイギリス軍を降伏させる重要な役割を果たした、ジャン・バティスト・ドナティエン・ド・ヴィムール、ロシャンボー伯爵(Jean-Baptiste Donatien de Vimeur, Comte de Rochambeau)にちなんでいるという。

 オープンを記念した式典にはドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領も出席し、ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼最高経営責任者(CEO)と握手を交わす場面も見られた。ほかには、トランプ米大統領の長女イヴァンカ・トランプ(Ivanka Trump)大統領補佐官と夫のジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)大統領上級顧問、元テキサス州知事のジェームズ・リチャード・ペリー(James Richard Perry)=エネルギー省長官、ウィルバー・ロス(Wilbur Ross)米商務長官、ジェイミー・マコート(Jamie McCourt)駐仏米大使に加えて、アルノー会長兼CEOの次男であるアレクサンドル・アルノー(Alexandre Arnault)=リモワ(RIMOWA)共同CEOと、マイケル・バーク(Michael Burke)=ルイ・ヴィトン会長兼CEOが出席した。

 アルノー会長兼CEOは、「LVMH全体の売り上げの25%を米国市場が占めており、それは金額にすると年間100億ドル(約1兆800億円)以上に上る。また当社は、給与や税金も含めて10億ドル(約1080億円)を米国に投資している。工房の設立はLVMHが米国を重視していることの表れであり、雇用を生み出すと米国民に約束したトランプ大統領を支援できてうれしく思う。わが国フランスは80年代にやや社会主義に傾倒した時期があり、私は事業の発展が歓迎されるアメリカにしばらく住んでいたことがある。その際に、効率的に事業を行うという米国式を学んだ。本日の式典に、トランプ米大統領をお迎えすることができて非常に光栄だ。私は政治について批判するためではなく、ブランドの発展と雇用創出のために来た」と語った。

 トランプ米大統領は、「(アルノー会長兼CEOは)先見の明がある素晴らしいビジネスマンであり、アーティストだ。彼はテキサス州に対しても素晴らしいビジョンを持っている。ちなみに、私は『ルイ・ヴィトン』という名前には大変なじみがある。長年にわたって、たくさん散財させられたからね」とジョークを交えてスピーチをしたものの、「ルイ・ヴィトン」の発音を間違えるという一幕があった。

 最近はSNSの台頭もあり、ブランドの政治的な発言が消費者の反発を招く場合がある。トランプ米大統領は人種間の対立をあおる“愛国的”な言動で知られており、アルノー会長兼CEOが同大統領と握手をしている写真がブランドに思わぬ影響を与える可能性も否めない。オープンの前に記事を掲載した米「WWD」のサイトには、「もう『ルイ・ヴィトン』の製品は買わない!」「トランプを支持するのは人種差別主義者だけ」と批判的な意見が投稿される一方で、「トランプは雇用を生み出すという約束を守った」という意見も見られた。また、同サイトのインスタグラムへの投稿には現時点で650件ものコメントが集まった。バーク=ルイ・ヴィトン会長兼CEOは、「これは雇用創出の話であって、政治的な問題ではない。雇用を創り出そうとしているアメリカの大統領を助けているのがフランス企業だというのは皮肉なことだが、当社が批判を受けるとすればその点だけだろう。政治的な問題ではなく、当社は友人たるアメリカを助けているだけだ」とコメントした。

 米国は欧州連合(European Union)との貿易摩擦に関する報復措置として年間75億ドル(約8000億円)相当の輸入品に追加関税をかけることを発表しており、10月18日から欧州産のワインやチーズなどの農業製品に25%の関税が上乗せされる。これについてジャン・ジャック・ギヨニー(Jean-Jacques Guiony)LVMH最高財務責任者(CFO)は、「値上げに関しては熟考して慎重に対応する」とコメントしている。なお、当初発表された対象品目の暫定リストに含まれていた皮革製品や衣類は最終的なリストから外されたため、欧州ラグジュアリーブランドの多くは難を逃れている。