ファッション

「ルイ・ヴィトン」や「ディオール」の親会社、19年上期も好調 「ブランドの強さによるものだ」

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の2019年1~6月期決算は、売上高が前年同期比15.3%増の250億8200万ユーロ(約3兆349億円)、純利益は同8.7%増の32億6800万ユーロ(約3954億円)と増収増益だった。

 部門別の売上高では、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「ディオール(DIOR)」「フェンディ(FENDI)」「ジバンシィ(GIVENCHY)」などのブランドを抱える主要事業のファッション・レザーグッズ部門が同21.3%増の104億2500万ユーロ(約1兆2614億円)と引き続き好調だった。中でも「ルイ・ヴィトン」と「ディオール」が非常に好調で、「ルイ・ヴィトン」は第1四半期と比較して中国の消費者がさらに増加しており、「ディオール」は部門全体の成長率を上回る勢いで業績が伸びているという。

 ジャン・ジャック・ギヨニー(Jean-Jacques Guiony)LVMH最高財務責任者(CFO)は、「何か特別な要因があるというより、ブランドそのものの強さによるものだろう」と語る。フランスでは18年11月から現在に至るまで激しい反政府デモが続いており、その影響で第1四半期こそやや売り上げが落ちたものの、第2四半期には完全に持ち直したという。また香港で行われている、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする法案への反対デモの影響についても、「特に大きな影響はない」とコメントした。また米中貿易摩擦などによって不透明感が増している世界経済については、「悲観も楽観もしていないが、当社の事業は関税や貿易障壁の影響を受けるので今後も注視する」と述べた。

 一方で、マーケティングおよび販売費用が同15.1%増の95億6300万ユーロ(約1兆1571億円)と嵩んでいることについて同氏は、「事業が好調だからこそ、将来を見据えて各ブランドに投資している。グローバルな経済環境が難しい局面を迎えた場合でも耐えられるように、いろいろと強化しておきたい」と述べた。

 ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼最高経営責任者(CEO)は、「上半期に素晴らしい業績を上げることができてうれしく思う。当社の戦略が効果的であり、時を超えて愛される製品を提供している傘下メゾンへの需要が高いことが再び示された。好調ではあるが、下期も費用をしっかりと管理するなど慎重に、しかしラグジュアリー業界の世界的なリーダーとして自信を持って進んでいく」と語った。

 ロゲリオ・フジモリ(Rogerio Fujimori)RBCキャピタル・マーケッツ(RBC CAPITAL MARKETS)アナリストは、「同社は莫大な利益を上げているが、それを最も収益性の高いファッション・レザーグッズ部門に再投資することでいっそう強化し、市場シェアをさらに拡大しようとしている。より規模の小さな競合他社が太刀打ちすることはさらに難しくなるだろう」と述べた。

 LVMHは買収も積極的に行っている。19年4月にイギリスの高級旅行会社ベルモンド(BELMOND、旧オリエント・エクスプレス・ホテルズ)を26億ドル(約2808億円)で買収しているほか、7月にはステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)の少数株式を取得している。また、リアーナ(Rihanna 本名:ロビン・リアーナ・フェンティ)と共にラグジュアリーブランド「フェンティ(FENTY)」を立ち上げた。「ディオール」や「ジバンシィ」などを買収によって傘下に収めてきたLVMHにとって、「フェンティ」は1987年にゼロからスタートさせた「クリスチャン ラクロワ(CHRISTIAN LACROIX)」以来、2つ目のブランド設立となった。ギヨニーCFOは、「さまざまなブランドに戦略的に投資している。『フェンティ』の業績についてコメントするのは時期尚早だろう。運営していく中で学び、その価値を高めていきたい。そうできるかどうかは私たちの手腕次第だ」と述べた。

 LVMHは好調な業績に後押しされ、株価が年初から47%ほど上昇している。これによってアルノー会長兼CEOの資産総額は7月16日付で1076億ドル(約11兆6208億円)となり、ブルームバーグ(BLOOMBERG)が毎日更新している世界長者番付でこれまでの3位から2位に浮上した。2012年に同番付が開始されて以来、常に1位もしくは2位だったビル・ゲイツ(Bill Gates)=マイクロソフト(MICROSOFT)創業者が3位となったが、7月25日付ではまた逆転してアルノー会長兼CEOが3位となっている。

 ラグジュアリー業界では世界的な景気減速の中でも好調なブランドが多く、LVMHと同日に上半期決算を発表したモンクレール(MONCLER)やその翌日に発表したエルメス(HERMES)も2ケタ成長を記録している。

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