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米国版“人工クモの糸”が138億円を調達 日米で開発競争の火花散らす

 日本とアメリカで、合成タンパク質を原料に、鋼鉄より強く髪の毛より細い “人工クモの糸”の工業化を巡る開発競争が激しくなってきた。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校の出身者がサンフランシスコで創業したスタートアップ企業のボルトスレッズ(Bolt Threads)は3日、シリーズDで1億2300万ドル(約138億9900万円)の大型資金調達を発表した。

 同社はこれまでのシリーズで5000万ドル(約56億5000万円)の資金調達を実施しており、合計の調達額は2億ドル(約226億円)に達する。調達した資金は、同社の人工クモの糸“マイクロシルク(MICROSILK)”のさらなる改良と商業生産のために使用する。ダン・ウィドマイヤー(Dan Widmaier)=ボルトスレッズ共同創業者兼CEOは、「世界で初めて人工クモの糸を上市した企業になったことを誇りに思っている。この資金を使い生産設備を改良することで、2018年にはさらに多数のブランドとのパートナーシップを組むことを楽しみにしている」とコメントしている。

 人工クモの糸に関しては、日本では慶應義塾大学発のベンチャー企業で、山形県鶴岡市に拠点を置くスパイバーが161億円を調達し、ゴールドウインと共同で、人工クモの糸“クモノス(QMONOS)”を使った“ムーンパーカ(MOONPARKA)”の商品化を進めている。原料に石油を使わず、強度などの物性を遺伝子レベルで設計・生産できる“人工クモの糸”は、素材業界にとって50年ぶりの大発明と言われており、日米両雄の激しいバトルによって、夢のテクノロジーの実用化が一気に進展し始めている。

 ボルトスレッズは、17年7月に「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」とのコラボレーションを発表。昨年末には、LAに拠点を置く傘下のアウトドア専門店のベストメイド(BEST MADE)と共同で、人工クモの糸とウールをブレンドしたニットキャップの販売もスタートしていた。今年2月末から開幕するパリ・コレでも、「ステラ マッカートニー」と共同開発したトップスとボトムスを発表する予定だ。

 ウールとブレンドした商品の発売を先行させ、製造しやすいニット製品を有力ブランドと発表するボルトスレッズに対し、日本のスパイバーはハイスペックなアイテムの完成度を高め、販売する戦略だ。スパイバーはすでに山形県鶴岡市に最先端の大型研究開発施設を構え、中量産クラスの紡糸設備も完成しており、人工クモの糸“クモノス”に関しての商業生産に関してもかなり進んでいると見られている。