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“コウモリチャーハン”Tシャツを拡散して炎上 ルルレモンがアート・ディレクターを解雇

 ルルレモン・アスレティカ(LULULEMON ATHLETICA以下、ルルレモン)は、同社のアート・ディレクターを務めるトレバー・フレミング(Trevor Fleming)が人種差別に加担したことを謝罪し、解雇したと発表した。

 事の発端は、米国カリフォルニア州を拠点に活動するアーティスト、ジェス・スルーダー(Jess Sluder)が制作した、“bat fried rice(コウモリチャーハン)”と名付けたTシャツにある。中華料理のテイクアウトで使用される白い箱からコウモリの羽が生えたデザインと、「No Thank You(結構です)」という文字が描かれたTシャツの購入サイトへのリンクをフレミングが自身のインスタグラムで拡散したことでたちまち炎上した。

 批判はフレミングが勤めるルルレモンにも飛び火し、“#BoycottLululemon”(ルルレモンをボイコット)や“#LululemonInsultsChina”(ルルレモンが中国を侮辱)といったハッシュタグがインスタグラムや中国版ツイッターのウェイボー(微博、WEIBO)で拡散される事態に発展した。

 これを受けてルルレモンは、問題のTシャツは同社の製品ではないこと、またフレミングを解雇したことを謝罪と共に発表した。「文化と価値観は当社の核だ。Tシャツのデザインは当社が手掛けたものではない。当社の従業員が差別的なTシャツのプロモーションに関係したことを謝罪する。当社はこの事態を重く受け止めている。デザインや投稿は不適切であり、情状酌量の余地もなく、当社はこうした行動を容認しない。この件に関わった従業員は当社の一員ではなくなった」とコメントしている。

 これに加えてカルヴィン・マクドナルド(Calvin McDonald)=ルルレモン最高経営責任者も従業員に向けて「いかなるレベル、形式であっても文化的に無神経であることや差別的な行動をとることはルルレモンでは認めていない」と発信した。そして「現在のような状況においてはダイバーシティー&インクルージョンがいっそう重要となる。ルルレモンのインクルーシブな社風を維持していくために、全社員が個々に自分の行動に対して責任を持つことを期待している」とした。

 今回の騒動をフレミングもインスタグラムで謝罪した。現時点ではアカウントは非公開となっているが、「URLを掲載したことを深く反省している。私はTシャツもデザインしていないし、制作にも携わっていない」と投稿した。Tシャツの制作者のスルーダーも騒動をきっかけにアカウントを非公開としており、コメントは得られなかった。

YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中

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