PROFILE: 三宅香帆/文芸評論家

特別企画として、CEOをインスパイアするマネジメント理論、発想法を持った4人のキーパーソンにインタビュー。企業のトップのほか、映像プロデューサーや文芸評論家など異業種も含め、その考え方や最新の取り組みを聞いた。26年のファッション&ビューティ業界を前向きに走り抜けるための“ヒント”を探る。(この記事は「WWDJAPAN」2026年1月26日号からの抜粋です)
今の若者の消費心理と変化する装いの意義
「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」など現代社会のムードをとらえた新書でヒットを飛ばし、出版業界の新星として注目を集める文芸評論家が三宅香帆氏だ。最新刊「考察する若者たち」では、近年のヒットコンテンツから若者たちの行動原理を読み解き、彼らの中にある「報われたい」という感覚を見出した。ファッション・ビューティ業界にとって常に無視できない存在である若者たちは今、何を考えているのか。三宅氏の視点のもと、「骨格診断」「あか抜け」といった言葉をキーワードにファッションの役割と価値の変化を考える。
今の若者たちはとにかく「報われたい」
ファッションの価値は“居場所”にある
WWD:新著では現代の若者の消費傾向を“報われ消費”と指摘していた。
三宅香帆(以下、三宅):「面白い」「楽しい」だけでなく、そこから何を持って帰れるのか、つまり報われるかどうかが今の若者心理を捉える鍵になっている。ファッションに置き換えると、服単体の魅力だけでなく、「骨格が綺麗に見える」「この界隈の人に擬態できる」といった報われが求められている。古着やハイブランドを投資として購入する動向も報われたいという感情で説明でき、非常に今っぽい。
WWD:若者の間では「骨格診断」のほか、「あか抜け」といった言葉も定着している。
三宅:「あか抜ける」という言葉は、「綺麗になる」「おしゃれになる」よりもマイナスをなくすニュアンスが強い。この言葉が現代的文脈で再流行した背景には、感情の盛り上がりよりも、減点が減る選択を優先する若者心理がある。ルッキズムの話題も、外見意識の向上という文脈より、「マイナスをゼロにしたい」「標準になりたい」という欲求の表れだ。著書でも引用した「先生、どうか皆の前でほめないで下さい いい子症候群の若者たち」(金間大介著)にあるように、今の若者には目立って褒められることを嫌がる感覚がある。ファッションやビューティ領域で普遍化した言葉からも同様の感覚を読み取れる。
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