企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」等の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回はジーユー(GU)についてファーストリテイリング(FAST RETAILING)の決算書を読み解く。(「WWDJAPAN」2025年7月14日号からの抜粋です)
今回は4月に在任15年の柚木治さんから、グローバルCOOだった黒瀬友和さんに社長が交代したジーユーにスポットを当ててみます。
ファーストリテイリングのユニクロ(UNIQLO)に次ぐ第二の柱となるべく、2006年10月に千葉県市川市のダイエー南行徳店に1号店をオープン。初年度で50店舗出しましたが、下半期は下方修正するくらい調子が振るわないスタートでした。09年3月に発売した990円ジーンズで知名度が上がり、集客力がつき、当時は売上高や利益を公表していませんでしたが、おそらく同年8月期の後半に黒字化したと思われます。10年8月期は490円Tシャツなど、複数の価格訴求品を発売して、初めて売上高を公開したのが12年8月期。つまり、開業から5年で500億円を突破しています。ものすごいスピード成長です。
GU売上高、営業利益、営業利益率の推移
営業利益が単体で公開されるようになったのは17年8月期です。24年8月までの過去10年の平均成長率は、年11.5%増。利益は17.4%増。2ケタ成長を維持しながら、利益の改善も進んでいるのが分かります。
ヒット商品頼り、シーズン商品の期末在庫処分を繰り返していましたが、転換期になったのは19年8月期です。それまではユニクロとの差別化としてトレンド商品を扱ってきましたが、このころからマストレンドや定番品という言葉が多く出てきて、ベーシック比率を高めたようです。同時にボトムスのヒット商品が出せるようになってきたので、定番ベーシックとマストレンドのボトムスをあてに行くことで損益を安定させる体質がついて来ました。
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