仏経済誌「シャランジュ(Challenges)」が7月10日に発表した2025年版“フランスの大富豪トップ500ランキング”で、2017年から首位を維持してきたLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)のベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼最高経営責任者(CEO)一族が2位に陥落し、話題を呼んでいる。
同誌は1996年から同ランキングを発表。株式や金融資産を中心に資産額を推定しており、個人所有の不動産や高級車、美術品などは含まれていないという。なお、LVMHは「シャランジュ」の大株主。
トップ3はラグジュアリー企業が独占
今年首位の座に着いたのは、「エルメス(HERMES)」のアクセル・デュマ(Axel Dumas)CEOら創業家一族で、その資産額は前年比5%増の1634億ユーロ(約28兆円)。なお、首位となったのは今回が初めて。ラグジュアリーセクターは23年から需要が世界的に“正常化”し、24年には減速しているが、そうした中でもエルメス・インターナショナル(HERMES INTERNATIONAL以下、エルメス)は2024年12月期を増収増益で終えるなど圧倒的な強さを見せている。同誌は、「エルメス」の強みは「値上げしても顧客を失うことのないプライシングパワー」だと分析した。
2位となったアルノー一族は、同38%減の1167億ユーロ(約20兆円)。これは20年以来、最低レベルだという。前述の理由に加えて、中国市場の停滞でLVMHの業績が芳しくないところに、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領政権の二転三転する関税政策による先行き不透明感も加わり、株価が下落していることが響いた。
なお、25年4月15日にはエルメスの時価総額が2464億ユーロ(約42兆円)となり、LVMHの2441億ユーロ(約41兆円)を抜いて首位に。7月15日現在も、エルメスは2547億ユーロ(約43兆円)、LVMHは2407億ユーロ(約41兆円)とその順位は変わっていない。
3位は「シャネル(CHANEL)」を長年にわたって保有するヴェルタイマー(Wertheimer)一族の950億ユーロ(約16兆円)となっており、トップ3をラグジュアリーセクターが独占している。
LVMHの競合ケリングの創業家は?
4位はロレアル(L’OREAL)を創業したマイヤーズ(Meyers)一族の738億ユーロ(約12兆円)、5位は航空機メーカーやソフトウエア企業などを擁する仏コングロマリット、グループ・ダッソー(GROUPE DASSAULT)創業家一族の356億ユーロ(約6兆円)だった。
なお、LVMHの競合であるケリング(KERING)のフランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)会長兼CEOとその一族は、9位の150億ユーロ(約2兆円)だった。