取材のパートナーは、たびたび「WWDJAPAN」にも寄稿してくださる、時計ライターの渋谷ヤスヒトさん。取材と取材の合間には、私からはファッションやビューティ、そして渋谷さんからは時計や車などに関する話を伺い、互いに情報交換です。
時計を取材したり、時計や車に関する情報を手に入れたりすると、ファッションやビューティ業界との共通点が多数あることに気づきます。
例えば、今年の「ウオッチズ & ワンダーズ」は、時計業界も踊り場と言われつつも、次世代を中心とする富裕層を見据えた高級時計の開発が花を咲かせた印象があります。「シャネル(CHANEL)」は、オートマタと呼ばれる、ゼンマイで動くからくり人形を搭載した時計を発表。アトリエで働く、ハサミを持ったマドモアゼルが動くという、なんとも可愛らしい仕掛けです。「エルメス(HERMES)」は、音で刻を知らせるミニッツリピーターを発表。ゴングを鳴らすハンマーが馬の形になっています。そして“頑張れば買える”価格帯が魅力だった「チューダー(TUDOR)」からは、ケースはもちろん、ブレスレットまでフルゴールドの時計。クロコダイルやパイソンを使ったハンドバッグが並ぶ、麻布台ヒルズのラグジュアリー・ブランドを彷彿とさせます。
一方、「カルティエ(CARTIER)」からは“タンク ソロ”のミニサイズが登場したり、セイコーの内藤昭男社長は「『グランドセイコー(GRAND SEIKO)』には、1万ドルや1万ユーロ(153万〜163万円)を超えない価格帯が求められている」と話して、この価格帯に抑えた“白樺”モデルのエモい新作を発表したりの流れも印象的です。こちらも「トッズ(TOD'S)」や「マックスマーラ(MAX MARA)」などのブランドが勢いを増していることとシンクロしている印象です。
デザインにおいても、「ショパール(CHOPARD)」の“L.U.C”を筆頭にクワイエット・ラグジュアリーな新作も数々。緑の文字盤を含め、時計業界がファッションの流れを確実にキャッチしていることが伺えます。
「ウオッチズ & ワンダーズ」は、高級時計の展示会。ゆえにファッション業界の中でもラグジュアリーとシンクロしている印象ですが、手頃な商材は、手頃なファッションとリンクしていることでしょう。やはり、いろんな業界を知ることは、ファッションやビューティ業界をもっと深く理解することに繋がるのだろうと思います。「WWDJAPAN」の「ウオッチズ & ワンダーズ」リポートは、渋谷さんの寄稿で4月29日&5月6日合併号で掲載予定です。
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