PROFILE: よぴ/アダストリアマーケティング本部 ライバー

アダストリアには、自社EC「ドットエスティ(.st)」でのライブ配信を主業務とする“ライバー社員”がいる。「ニコアンド(NIKO AND...)」の中四国地域の店長を経て、2022年9月にマーケティング本部に異動した入社6年目のよぴさんだ。「もともと店頭での接客が大好きで、本社になんて行きたくないと思っていた」が、「目の前の1人のお客さまでなく、画面の奥の数千人にリーチできる」ライバーには魅力を感じ、社内公募に立候補した。「配信の仕事は本当に楽しい。ライバーは天職」と語る。(この記事は「WWDJAPAN」2023年11月6日号から抜粋・加筆しています)
「ドットエスティ」では連日ライブショッピング動画を配信しており、よぴさんも「少なくとも週3回は配信がある」。ECのポイント還元期間中などは「週7回」ということもザラだ。配信には各ブランドの人気販売員が登場するが、専業ライバーとして、ブランドの垣根を越えて商品紹介をしているのは社内でよぴさんだけという。配信は慣れたもので、一人で喋り続ける構成であってもテンポよく進んでいく。よどみなくしゃべる姿に、上司や同僚からは“おしゃべりモンスター”と呼ばれるようになった。
「台本は大枠しか作りません。紹介する商品情報だけをメモして、あとはアドリブ。配信中にどんなコメントが来るか分からないから、台本を作り込み過ぎると逆に固まっちゃう。意識しているのは、喋り過ぎて時間をオーバーしないようにということくらい」と、さすがモンスター。話に詰まることがあったら、「『今ほしいものは何ですか?』といったように問いかければ、反応が返ってくる。それは店頭での接客と同じです」と続ける。
中高生から届く「ライバーになりたい」の声
店頭と違うのは、こちらからは客の姿が見えないこと。でも、「一度も会ったことがないのに、自分のことを好きと言ってくださるお客さまがいる。配信後にインスタグラムにDMをいただくことも多いです。配信で紹介した商品を実際に購入し、スタイリング写真を送ってくれるお客さまもいます」というように、濃いファンが増えたことに手応えを感じている。
画面越しだからこそウエストサイズなどのコンプレックスを赤裸々に明かして相談してくる客も多い。「実店舗に行きづらいと感じているお客さまに、買い物の不安を解消できる場を提供できていることはとても嬉しい」と語る。
画面上で元気いっぱいに動き回るよぴさんに憧れる若い世代も増えている。最近は「どうやったらライバーになれますか?」「アダストリアに入りたい」といった声が、社内外の販売員や学生のファンからDMで届いているという。「ライバーはコミュニケーション力が重要。だからこそ、販売員の方には目の前のお客さま、地域のお客さまに日々一生懸命接することが第一歩だと伝えています。学生さんは、今は青春をめいっぱい楽しんでほしい。将来、それがきっと人を楽しませることにつながるよと返しています」。
今年で27歳。よぴさん自身の今後の目標は「ずっとライブ配信担当でい続けること」だ。「本当に楽しい仕事だから、今の働き方を変えたくない。年を重ねてもその時々で似合うファッションを紹介していけたら」。会社として、将来的にはよぴさん以外にもブランド横断型のライバーを増やし、ライバーチームを結成するといった話もあるという。「私は背が低い点もキャラクターの1つになっていますが、それ以外にもいろんな人がいるのがアダストリアの強み。多様なメンバーでライバーチームとして働いていきたい」と語る。
よぴさんの「接客POINT」

配信前には、その日見せる商品の着用画像を「ドットエスティ」内のスタイリング投稿コンテンツ“スタッフボード”にアップ。配信中に客に紹介し、ECでの楽しい買い物をサポートする。写真は配信の必須アイテムである手持ち三脚、喋りすぎたのどを潤す水、リップ、パソコン。1人で配信の進行をする場合、しゃべりつつパソコンを開いて配信中の動画に画像も貼り付けて、と八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍ぶり。