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アダストリアがアンドエスティHD体制へ移行 中核事業会社、新生アダストリア北村社長に聞く

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PROFILE: 北村嘉輝/アダストリア社長

北村嘉輝/アダストリア社長
PROFILE: (きたむら・よしあき)1976年生まれ、京都府出身。大学卒業後、99年に新卒でファイブフォックス入社。店舗スタッフ、店長、マネジャーなどを経て、2007年にトリニティアーツ(現アダストリア)の前身であるドロップ入社。10年にスタディオクリップ事業部長、12年ニコアンド事業部長、15年アダストリアホールディングス執行役員営業第2本部長、19年アダストリア取締役、21年常務、24年専務就任。25年4月に現職就任。家族は妻、長男、次男、2匹の犬。趣味はトライアスロン

アダストリアは9月1日付で持株会社制に移行し、社名をアンドエスティHDに変更した。同社に事業会社や海外グループ会社がぶら下がる体制となり、強みのマルチブランド戦略をマルチカンパニーという形でさらに前進させる。中期経営計画では「アパレル小売業を超えたプラットフォーマーへの転換」を掲げるが、屋台骨となる事業が、EC含め国内外1600以上を出店するリテールビジネスであることに当面変わりはない。リテールビジネスの大部分を担う中核事業会社、アダストリアの北村嘉輝社長に聞いた。

WWD:改めて、9月1日からの新体制はどのような形なのか。
北村嘉輝アダストリア社長(以下、北村):アンドエスティHD体制で、ブランドリテール事業、グローバル事業、プラットフォーム事業の3つを手掛けていく。新生アダストリアやエレメントルール、BUZZWIT、カリマーインターナショナルなどが集まったブランドリテール事業は3つの中で最も規模が大きく、その中でも売り上げ規模が最大であるアダストリアはグループ全体をけん引していく立場だ。グローバル事業は今後も引き続き見ていくが、福田(三千男アンドエスティHD会長)や木村(治 同社長)から自分に求められているのは、ブランドリテール事業の中心であるアダストリアを成長させること。(将来的にプラットフォーマーを目指していくにしても)現時点はブランドリテール事業があってこそだ。

WWD:社長として自身で掲げている目標は何か。
北村:世界で戦えるマルチブランド企業になりたい。ファーストリテイリングや良品計画など、単一ブランドで世界で勝っている企業が多い中で、マルチブランド体制で世界で戦うことをやり切りたい。会社として掲げる“Play fashion!”をお客さまに届けるために、ポートフォリオを組んでブランドを作り運営してきた結果、マルチブランド体制になっている。単一ブランド体制に強みも弱みもあるのと同様に、マルチブランド体制にも両面がある。ただ、近年はDXが進み、サプライチェーンの仕組みも整ってきたことで、マルチブランドの(弱みを補い)ブランドを増やしていく体制はだいぶ進んでいる。

WWD:競合は、「ユニクロ(UNIQLO)」の国内売り上げだけで8000億円、「ジーユー(GU)」のグローバル売り上げで3000億円といった規模感だ。
北村:われわれはアンドエスティHDとして25年2月期に2931億円であり、最大ブランドの「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」であっても500億円超という規模だ。それで戦っていくには、どうしたって自分たちの強みであるマルチブランドで戦略的に考えていかざるを得ないし、個人的にもマルチブランドに挑戦し続けたい。経済メディアでは、われわれはファーストリテイリング、良品計画、しまむらなどと比較いただくことが多いが、ビジネスモデルがそれらの企業とはそもそも異なる。どちらかと言うと、近いのはパルグループホールディングスやワールド、オンワードホールディングスといった企業だ。そうした昔からの日本のマルチブランドアパレル企業にまず勝つためには、グローバル市場に出ていくことが重要だ。

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