ファッション

「エルメス」の元従業員含む集団が“バーキン”の模倣品を製造 別件容疑から芋づる式に発覚

 高品質のクロコダイルレザーを入手し、「エルメス(HERMES)」で培ったノウハウを利用して、同ブランドのアイコンバッグの一つ“バーキン(BIRKIN)”の完成度の高いレプリカを製作し販売したとして元従業員を含む10人がフランスで起訴された。

 この集団は2011年から14年の間に“バーキン”の模倣品約148個を香港を中心としたアジア地域の顧客に販売し、400万ユーロ(約4億8000万円)以上を得たという。購入した顧客は模倣品だと知らずに購入した。この事件は「エルメス」のバッグの盗難容疑で男を取り調べる中で発覚した。この集団には、当時現役だった従業員や元従業員7人が含まれる。

 検察官は懲役4年と罰金20万ユーロ(約2400万円)、捜査中に押収した商品の没収を求めた。これに加えて、起訴後すぐにベトナムに逃亡し、それ以降裁判所からの召喚命令などに従わなかった首謀者の一人については逮捕状の執行を要求した。さらに、エルメスは100万ユーロ(約1億2000万円)を超える損害賠償を請求した。これに対して摘発された偽造集団の弁護人は、エルメスが申告した為替レートや70%の利益率などに基づいた損害額について争うという。また、別の首謀者の一人を代理する弁護人は“バーキン”が女優のジェーン・バーキン(Jane Birkin)のためにエルメス最高経営責任者だった故ジャン・ルイ・デュマ(Jean-Louis Dumas)氏が20世紀初頭から展開しているバッグをベースにデザインしたことを挙げ「“バーキン”にオリジナリティーはない」と主張している。

 裁判資料によると、模倣品には正規品の切れ端や盗んだメタルパーツを使用し、2万3500~3万2000ユーロ(約282万~384万円)で販売したという。当時、正規品は4万4000ユーロ(約528万円)で販売されていた。また、これらは「エルメス」の従業員が個人で使用することを条件にマイバッグを作ることができる設備で製作された。正規品と見分けるために流れ星の判が押されている。

 公判は3日間にわたって行われ、検察官は従業員2人を含む3人の男が首謀者だと説明した。従業員だった者のうちの1人はレザーを裁断するエキスパートで、同社を退社する際に“バーキン”のパターンを含む機密書類を持ち出したとされている。また、もう1人の従業員はイタリアにある同社の子会社の元役員で、エキゾチックレザーの仕入れを担当していたという。この子会社は別の模倣品スキャンダルにも関係している。

 判決言い渡しは9月24日を予定している。

 クロコダイル素材を使用した“バーキン”のサイズ30や35は、店頭でも中古品市場でも高い値が付けられている。ダイアモンドをあしらったクロコ素材の“バーキン”は、17年に香港のオークションハウスのクリスティーズ(CHRISTIE’S)に出品され、37万9261ドル(約4058万円)で落札された。

最新号紹介

WWD JAPAN

アウトドア消費の現在地と未来 ブームは一過性か、それとも日常に定着するか

「WWDジャパン」11月30日号は「アウトドア」特集です。アウトドアウエアが日常的に着用され、商業施設の目玉テナントとして誘致されるなど、市場を席巻しています。キャンプやハイキングなどはコロナ禍に最適なレジャーとしても注目されていますが、このブームは一過性のものなのか、あるいは日常に定着するのか。特集では、自然の豊かさを多角的に発信するアウトドア企業のトップや、ファッション視点で市場を見てきた名物…

詳細/購入はこちら