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「ブルガリ」が世界最大の時計・宝飾見本市「バーゼル・ワールド2020」から撤退

 LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)傘下で、ウオッチ&ジュエリー部門で最大の売り上げを誇る「ブルガリ(BVLGARI)」が、世界最大の時計・宝飾見本市「バーゼル・ワールド(BASEL WORLD)2020」からの撤退を発表した。一方で、同じく傘下の「タグ・ホイヤー(TAG HEUER)」「ウブロ(HUBLOT)」「ゼニス(ZENITH)」は出展を継続する。4ブランドはいずれも「バーゼル・ワールド」のメインホール入り口近くの一等地にブースを構える、同見本市にとって重要な出展ブランドだ。

 「ブルガリ」の出展辞退の理由は3つ。1つ目は、1月にアラブ首長国連邦・ドバイのブルガリ リゾート アンド・レジデンス ドバイで開催した「LVMH ウォッチ ウィーク 2020」で、すでに新作を発表済みであること。2つ目が、新型コロナウイルスの感染拡大による海外渡航者の不安定な社会および経済状況を考慮したこと。3つ目が、「バーゼル・ワールド2020」の4月30日から5月5日という会期ではビジネス上支障があること。

 一方でジャン・クリストフ・ババン(Jean Christophe Babin)=ブルガリ・グループ最高経営責任者(CEO)は、「これは『バーゼル・ワールド』そのものからの離脱を意味するものではない」と断り、「21年の『バーゼル・ワールド』出展の可否は、開催時期とコストを考慮して6月末までに検討する」と述べた。

 出展を継続する「タグ・ホイヤー」「ウブロ」「ゼニス」を率いるウオッチ部門のプレジデント、ステファン・ビアンキ(Stephane Bianchi)は「時計業界における『バーゼル・ワールド』の重要性を考え、予定通り出展する」とコメントした。

 LVMH内で対応が真っ二つに分かれる結果となったが、この対比はジュエラー兼ウオッチメーカーである「ブルガリ」と、純粋なウオッチメーカーである「タグ・ホイヤー」「ウブロ」「ゼニス」の、時計業界におけるポジションの違いから生まれたものと考えられる。

 LVMH内のパワーゲームだとするうがった見方もある。しかしババン=ブルガリ・グループCEOは、「これから世界中で開催するロードショー形式の新作プロモーションで、3つの時計ブランドとも可能な限り協力する」と述べている。

 新型コロナウイルスをめぐっては、世界最大の時計企業であるスウォッチ グループ(SWATCH GROUP)が、3月4~6日の会期でスイス・チューリッヒで開催予定だった新作展示会「タイム・トゥ・ムーブ(TIME TO MOVE)2020」の中止を決定している。ちなみに同グループは、19年に「バーゼル・ワールド」と決別している。

 LVMH傘下の3ブランドは出展継続を表明したが、今後の状況次第では「バーゼル・ワールド2020」と、それに先駆けて4月25日から29日までジュネーブで開かれる「ウオッチ&ワンダー ジュネーブ(WATCHES & WONDERS GENEVA)」ともども開催が危ぶまれる。2月末をめどに中止か開催決行かの最終判断が下されると関係者は話している。

渋谷ヤスヒト/オフィス・ノマド代表:1962年、埼玉県生まれ。大学卒業後、徳間書店に入社。文芸編集部を経て、「グッズプレス」編集部に配属。表紙撮影で出合った「ブライトリング」の“コスモノート”を購入したことをきっかけに時計にはまり、95年からスイス2大時計フェアや時計ファクトリーの取材を開始。2002年に同社を退社し、「エスクァイア日本版」の編集者などを経てオフィス・ノマドを設立。時計ジャーナリスト、モノジャーナリスト、編集者としての顔を持つ。趣味は料理