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女性の悩みに寄り添うメディアコマース「ランドリーボックス」 代表が語るフェムテックの可能性

 昨年8月に開設された「ランドリーボックス」は、女性の健康問題をテクノロジーで解決するフェムテックに特化したメディアコマースのスタートアップだ。“あらゆる私に選択肢を”をキーワードにした女性の悩みに寄り添う記事コンテンツの提供と、関連商品の販売を行っている。ランドリーボックス代表の西本美沙は前職でドワンゴの広報を務めていた際に、同社のブログサービスを使ってセックストイに関する情報を綴った個人ブログをスタート。そのブログのきっかけで、フェムテックに出合ったという。彼女がフェムテックに注目した理由から「ランドリーボックス」の今後の展望などを語ってもらった。

WWD:「ランドリーボックス」開設の経緯を教えてください

西本:前職でPRを担当した際、いくつかのブログ立ち上げの広報に携わったことで、情報を発信することに興味をもちました。そこで個人ブログをやり始めて、ファッションやフードといった既存コンテンツに被らない分野で記事を書いていました。中でも特に読者の反応がよかったのがセックストイの紹介記事。いやらしい目線ではなく性の悩みを抱えた読者からたくさん質問がくるようになり、性の情報のニーズは大きいことに気づきました。そこで、メディアとして発信しようと思い立ち、5年以上前に「ランドリーボックス」の前身である「ランドリーガール」を立ち上げました。

WWD:「ランドリーガール」はどんなコンテンツを発信していましたか?

西本:悩み相談のようなコンテンツを発信し続けました。そんな中、「セックストイなどに興味はあるけど、きちんと説明を受けないと購入に踏み切れない」という意見を多くもらい、ユーザーの悩み相談と関連商品の販売を兼ねたリアルイベントを開催したところ、参加者の8割がアイテムを買ってくれたんです。そのときに「記事コンテンツとシームレスにつながったECは需要がありそうだ」と思い、EC機能も備えた新たなサイト「ランドリーボックス」として再スタートした流れです。

WWD:「ランドリーボックス」で扱うアイテムの選定方法は?

西本:本当におすすめできるモノしか販売したくないので、自分たちが使ったことのある商材しか基本的には扱いません。それに加えて、ドラッグストアや量販店などにあまり置かれていないものを意識的に選んでいます。

WWD:記事コンテンツの制作で大切にしていることは?

西本:会社として“あらゆる私に選択肢を”というビジョンを掲げています。環境や教育によって価値観はバラバラで、個人によって正解も異なると考えているので、メディアとしても「これが正しい!」と啓発するのではなく、読者一人一人に寄り添うようなコンテンツを作るよう心掛けていますね。現在ライターは15人くらいいて、プロの書き手から一般の主婦まで肩書きも全然違います。このおかげで、いろんな視点から書いたコラムが発信できています。

WWD:そもそも性や生理関連の商品に興味をもったきっかけは?

西本:セックストイを使い始めたのは、大学生のとき当時付き合っていた人とのマンネリ解消が目的でした。一緒にドン・キホーテに行って買いました。その人と別れてからもウェブサイトなどで定期的に商品をチェックしていたら、海外から可愛いセックストイを個人輸入したり、国内の新商品を試したりするようになりました。生理用品については、6年ほど前に月経カップを初めて使ったとき、その便利さに感動してその他のアイテムを調べるようになりましたね。もともと経血量がすごく多くて、ナプキンの取り替えなどにずっと悩んでいたんですが、月経カップを使うようになって本当に楽になったんです。そのころから、いろんな人に生理用品のメリットを知ってほしいと思っていました。

WWD:生理用品といえばナプキンかタンポンの二択というイメージだが、それ以外の生理用品にはどんなメリットがある?

西本:たくさんありますが、例えば月経カップのメリットの一つに経血量が視覚的に確認できることがあります。私は、経血量がいつもと異なることから病院に行ってみたら子宮内の異常があることを発見しました。経血量の変化は体調にも影響されますので絶対的な指標ではないですが、自分の体を知る一つの尺度にはなりますよ。そのほかのアイテムにもたくさんのメリットがあって、女性の生活を豊かにします。

WWD:メディア立ち上げから半年ほどだが、どれくらい成長している?

西本: PVやユーザー数は伸びています。記事数が増えているのでこれらの数値が上がるのは当たり前ですが、ミチカケ(大丸梅田店のフェムテック専用ゾーン)のオープンなどSNSでの話題も増え、メディア自体への関心も高まっていると思います。

WWD:今後、戦略としてやっていくことは?

西本:私たちはプロダクトを作っているメーカーではありません。メディアコマースという形を取っているのは、ユーザーさんとメーカーさんの商品をつなげたいからです。女性の悩みに寄り添った商品はどんどん増えて行くと思いますが、選択肢が増えただけユーザーはアイテム選びに迷ってしまう。そこで、一人一人のライフスタイルや体の悩みに合わせてマッチングできるようなプラットフォームを目指します。まずはコンテンンツとして商品の魅力を適切に発信しつつ、シームレスに購入できるユーザー体験の場を提供していきます。

WWD:リアルイベントなどは企画している?

西本:はい。実はすでにいくつかのイベントを開催してきました。昨年は私立高校と組んで女子高生向けのイベントを開催したほか、産婦人科の先生を招いて体のことを説明してもらい、その場で気になった商品を購入できるイベントも行いました。子どもから親世代まで正しい知識を得る機会を継続的に提供していき、ゆくゆくはコミュニティーづくりに発展させられたらと思います。