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「WWDジャパン」がファッションローセミナーを初開催 本当にあったトラブルから解決のヒントを探る

 「WWDジャパン」は1月28日、ファッションローを題材にした初のセミナーを開催した。当日は大雨に見舞われたが会場は大盛況だった。「ビジネス判断の足かせになるもの」「クリエイションの幅を狭めるもの」と受け取られがちな法律だが、昨今ではSNSが普及したことで炎上リスクが高まったり、海外とのトラブルが増加したりすることからも、各社のコンプライアンス意識の高まりがうかがえる。

 “ファッションロー”とは個別の法律を指す言葉ではなく、ファッション産業に関係するあらゆる法律の総称だ。つまり、知的財産法や労働法、契約法、商法などを縦串とするならば、ファッション産業という横串を刺したときに引っ掛かる部分が“ファッションロー”に該当するということだ。

 「WWDジャパン」では、2018年8月から毎月1回「初心者のためのファッションロー相談所」を連載し、19年12月9日号ではファッションロー特集「みんなの疑問・不安に4人の弁護士がすっきり回答 業界にまつわる18の法律相談」を組むなどファッションローを継続して取り上げている。今回登壇したのは同特集に登場した4人の弁護士だ。

 第1部では、三村小松法律事務所の小松隼也弁護士と海老澤美幸弁護士が「解決!ファッションビジネスの法律問題」と題して、架空のブランドを題材にブランドビジネスが直面するさまざまな課題について法的に注意すべきポイントを解説した。日本において“ファッションロー”といえば、模倣問題をはじめとする知的財産に関する問題が注目されがちだが、このセッションではモデルへの接し方や海外取引における契約の注意点、雇用問題といった、ビジネスを進める上で日常的にぶつかる課題を取り上げた。

 第2部は、三浦法律事務所の池村聡弁護士が「ファッション業界人が知らなきゃまずい著作権、肖像権の基本」と題して著作権・肖像権を、関真也法律事務所の関真也弁護士が「ファッションにおける商標法・不正競争防止法の実務的かつ創造性ある活用」と題して商標法・不正競争防止法を基礎から解説。参加者は自分の業務分野や興味に合わせて講座を選び、受講した。

 著作権・肖像権について解説した池村弁護士は、知らないうちに権利を侵害していることがあり得ると話す。他方で、必要以上に法律問題に敏感になることで、ビジネスの肝であるクリエイションの幅を制限しすぎてしまうこともあると指摘する。実際に起きたファッション業界の事例から教訓を学び、権利を侵害しないための勘所を伝えた。

 商標法・不正競争防止法について解説した関弁護士は、模倣問題について「昨今、ファッションデザインの模倣問題に対する意識は高まり、争いになる事案も増えてきている」と話す。過去に問題となった商品やロゴの比較画像を用いながらパロディーや形態模倣などについて裁判所がどのように判断したのかを解説。セミナー参加者が当事者となった場合に自ら解決策を生み出すことができるよう、考え方を基礎から説明した。

YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中