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「オン」ホフマンCEOが語る出店戦略、アパレル強化、イノベーション 世界陸上でも存在感

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PROFILE: マーティン・ホフマン/オン CEO

マーティン・ホフマン/オン CEO
PROFILE: (Martin Hoffmann)独カイザースラウテルン大学で経営管理とコンピューターサイエンスの学位を取得し、2003〜09年に独の経営コンサルティング企業CTcon GmbHに勤務。09〜13年に勤めた小売企業ValoraではCFOを担当。13年7月にオンに入社して以来CFOを務め、21年1月から共同でCEOも兼務。25年7月から単独でCEOを務める PHOTO:AI OKUBO

2010年にスイスで創業したスポーツブランドの「オン(ON)」。21年の上場以来、前年比約1.3〜1.6倍の成長を続けており、創業からたった15年で「ナイキ(NIKE)」「アディダス(ADIDAS)」と肩を並べるようになった。こと話題性においては、そうした老舗ブランドを凌駕する存在感を放っていると言っていい。急成長を支えるのは、パフォーマンス(機能の高さ)、デザイン、イノベーション(技術革新)を融合する姿勢。9月13〜21日に東京で開催中の世界陸上に合わせて来日した、マーティン・ホフマンCEOに強さの源泉を聞いた。

WWD:今年7月に単独CEOに就いた。改めて、CEOとして何を目指しているか。

マーティン・ホフマン オンCEO(以下、ホフマン):私が20人目のメンバーとしてオンに加わったのは2013年のこと。(単独CEOに就いたのは今年だが)オンと共に歩んできた長い歴史がある。(7月以前は)パートナーは5人だったが、(共同CEOを務めていたマーク・マウラー氏が退任し)今は4人になった。オンは、「自分たちが何者なのか」「何を目指しているか」が非常に明確だ。3人の創業者がブランドを立ち上げた当初からそれは明確だったし、今後もそうあり続ける。われわれの使命は、ムーブメントを通して人々の心に火をつけること。そして、“プレミアムスポーツブランド”(最高級のスポーツブランド)になること。この数年をかけ、我々はグローバルビジネスのためのさまざまな基盤を築き上げてきた。その土台をもとに、今後もビジネスを拡大できる。

WWD:「“プレミアムスポーツブランド”を目指す」ことは、オンの他の幹部からも頻繁に聞く。改めて、ホフマンCEOが考える“プレミアムスポーツブランド”とは何か。単にラグジュアリー化するということか。

ホフマン:最終的に、ブランドがプレミアムかどうかはお客さまが決めるものだ。お客さまは、感情、なかでも帰属意識や自己表現につながるような感情を突き動かすブランドのことをプレミアムだと感じる。ブランド側にできることは、そういった感情をキュレーションすること。ブランド体験、クラフツマンシップ、イノベーション、品質、店頭の世界観、イベント、コミュニティーなどの全てを通して、われわれはお客さまの心を揺さぶる。それら全てで、スポーツブランドの中で最もプレミアムな存在になる。特にアジアでは、スポーツウエアが新しいファッションスタイルになりつつある。急速に成長するアジアの“プレミアムスポーツ”マーケットを通し、オンも非常に強い成長を遂げることができる。アジアのお客さまは配送スピードや店舗のクオリティー、サービスなどの要求レベルが世界で最も高い。それがアジアでプレミアムなブランドが求められる理由の一つだ。スポーツと紐づいたプレミアムブランドを身につけることは、アイデンティティーの表現にもつながっている。

「中計をはるかに上回る
スピードで成長」

WWD:26年12月期に向けた3カ年計画(23年10月に発表)では、26年までの3年で売上高を倍増させ、粗利益率は60%を達成するといった目標を掲げている。既に現時点で、この目標の達成は確実視されている。

ホフマン:その通りだ。われわれは自らに課した目標をはるかに上回って成長している。この3カ年計画に沿って、オンは事業拡大のためにさまざまな計画を実施してきた。そのように積み上げてきたブロック1つ1つが、全て基盤としてうまく機能していると強調したい。例えば、“つま先から頭まで”を掲げ、フットウエアからアパレルへと事業拡大しているのもうまくいっているし、20年には直営1号店をオープンし、小売事業への参入を果たした。先日銀座にオープンした店舗を含め、直営店舗数はグローバルで55にまで拡がった。カテゴリーにおいても、原点であるランニングからテニス、トレーニングと、新しい領域に着手している。中国を含むアジア太平洋地域はブランドの基盤として非常に重要な位置を占めており、アジア太平洋地域の売上高は、直近3四半期連続で前年同期の倍以上となっている。そう、まさに3カ年計画の全てがうまくいっており、これにより、次の3年、4年に向けた構想を立て始めることができている。

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